いつも誰かのために一生懸命な君を、みんなが支えたいと思っているんだよ

自分に自信がない。
他人との距離の取り方が分からない。
進むべきか下がるべきか考えすぎて、結局一歩も動けない。
そんな引っ込み思案な女子高生が、たくさんの回り道をしながら、周囲の人々を少しずつ動かしていくお話です。

何気ない日常は、ほんのちょっとしたことで浮いたり沈んだり。
みんなが苦労なくやっているように見えることでも、主人公・コトちゃんにはうまくできません。

だけど始業式の日に怪我をさせてしまった男子生徒・音羽くんに関することで、クラスメイトの純水ちゃん、祥子ちゃんと仲良くなった彼女は、小さな一歩を踏み出します。
友達のこと。男の子のこと。家族のこと。
ともすれば拗れてしまいそうな人間関係の中、どうしたら相手のためになるのか、そのために何をすべきか、真剣に考えます。

はたから見たら、彼女のやり方は不器用で回りくどい方法かもしれません。行ったり来たりで時間も手間もかかります。
だけど、その一生懸命な気持ちに触れて、心を動かされない人がはたしてどれほどいるでしょうか。

いつも相手のことを優先してしまうコトちゃん。
そんな彼女だからこそ、ピンチに陥った時に今度はみんなが手助けしてくれるのです。

つまづいてしまった誰かに手を差し伸べることにも、勇気が必要です。
もし進む道が分からなくなっても、誰かが手を差し伸べてくれたら、新しい扉が開くかもしれません。
とても優しい気持ちになるお話。おすすめです。

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