自分に自信がない。
他人との距離の取り方が分からない。
進むべきか下がるべきか考えすぎて、結局一歩も動けない。
そんな引っ込み思案な女子高生が、たくさんの回り道をしながら、周囲の人々を少しずつ動かしていくお話です。
何気ない日常は、ほんのちょっとしたことで浮いたり沈んだり。
みんなが苦労なくやっているように見えることでも、主人公・コトちゃんにはうまくできません。
だけど始業式の日に怪我をさせてしまった男子生徒・音羽くんに関することで、クラスメイトの純水ちゃん、祥子ちゃんと仲良くなった彼女は、小さな一歩を踏み出します。
友達のこと。男の子のこと。家族のこと。
ともすれば拗れてしまいそうな人間関係の中、どうしたら相手のためになるのか、そのために何をすべきか、真剣に考えます。
はたから見たら、彼女のやり方は不器用で回りくどい方法かもしれません。行ったり来たりで時間も手間もかかります。
だけど、その一生懸命な気持ちに触れて、心を動かされない人がはたしてどれほどいるでしょうか。
いつも相手のことを優先してしまうコトちゃん。
そんな彼女だからこそ、ピンチに陥った時に今度はみんなが手助けしてくれるのです。
つまづいてしまった誰かに手を差し伸べることにも、勇気が必要です。
もし進む道が分からなくなっても、誰かが手を差し伸べてくれたら、新しい扉が開くかもしれません。
とても優しい気持ちになるお話。おすすめです。
物語は衝撃的に始まり、私はハラハラさせられました。
ヒロイン、織紙言乃さんは、心を痛めたのではないか。
友人となってくれそうな方とは上手く行くのかな。
どうも守ってあげたいタイプとして登場しました。
しかし、人は、いつまでも同じではありません。
辛いことを乗り越え、喜びを分かち合える時は笑い、大げさなところは控えめにして、日々成長をみせてくれます。
これは、日常を描いたものですが、スパンを広く、「はじめのいっぽ」、「ふたりのきょり」と伸ばして行きます。
現在、「みっつのこい」に差し掛かっております。
それから、仰々しいことなどなく、ほっとするシーンもあったりします。
大切な人々には、それぞれ思いがあります。
時には傷つけたかも知れない、けれども宝物かも知れない、様々なものを深く追っています。
作者の筆致が確かなのが、情に絡んで表れていると思います。
私の気に入ったのは、キーワード、「白」です。
どこにあるか、探しながら読まれてもお楽しみいただけると思います。
まさに、ことの次第はどうなるのか。
是非、ご一読ください。
自分の青春に出会えるかも知れません。
最新の第32話までを読んでのレビューです。
主人公は女子高生になったばかりのコトノちゃん。
ちょうど子供時代から大人になろうかという、まさにその境界線上にいるような少女。
彼女は入学早々、音羽くんにケガをさせてしまい……と不思議なオープニングから始まる物語です。
不思議な出会い方はしたものの、彼とはちょっと特別な縁も生まれ、賑やかな友達も出来て、平凡なようだけどちょっと特別な日常が始まります。
恋未満の淡い思い、友達と出かける夏の海、二人で出かける映画館と、それは高校生には当たり前の光景かもしれないけれど、コトノちゃんにとってはどれも特別な事ばかり。
というのもコトノちゃんはどうも人とは少し違う純粋すぎる感受性があるようで、いろんな出来事に驚き、楽しみ、ゆっくりと成長をとげていきます。
この辺りがまさにタイトル「事の次第」とかけ合わさって描かれていきます。
丁寧に描かれた心中描写、シーンを切り取る描写、穏やかそうだけど本人には大事件なストーリー。
まだ連載中の作品ですが、続きを楽しみに追いかけてみてください。