ゴリマッチョ人外男子の葛藤する姿からしか得られない栄養素があります！！

人外男子と人間女子の異種間恋愛がお好きな方。
体格差カップルがヘキという方。
じれじれもだもだラブしか勝たんという方。
オーケー、全部ここに揃ってますよ！

本作は、女を攫って子を産ませる化け物に変身してしまう青年・柳楽くんと、人付き合いの苦手な小動物系美少女・知里佳ちゃんによる、近づきたくても近づけない絶妙距離感ラブストーリーです。
二人の視点が交互に綴られるため、相手に対する両者の想いが読者からはどちらも分かるという、うまみしかない構成がニクい。

一番の見どころは、やはり柳楽くんの葛藤でしょう。
知里佳ちゃんを「雌」として欲する、内なる化け物・獲猿の衝動的な本能と。
知里佳ちゃんという一人の女性に惹かれる、柳楽くん自身の人間らしい理性と。
どちらも彼女へ向かう矢印ですが、柳楽くんは獲猿に主導権を明け渡すわけにはいかないのです。
彼女を大事にしたい。傷つけたくない。ちゃんと一人の人間の男として、向き合いたい。
そもそも柳楽くんはゴリマッチョで、体格に恵まれていて力が強いからこそ、よりいっそう相手を怖がらせてはならないという気持ちがあるわけです。
ンンゥッ……そのメンタリティや良しッ！！このギャップよ。素晴らしい。

知里佳ちゃんは知里佳ちゃんで、イジメを受けた過去の傷を彼女なりに乗り越えようとする姿が健気で、とても好感が持てます。
他人との距離の測り方、接し方、振る舞い方……これでいいのか、相手に嫌な思いをさせていないか、ことあるごとに自問しながらもちゃんと社会でやっていこうとする姿勢に、共感を覚える人も多いはず。

お互いに簡単には近づけない事情や心理があり、惹かれ合っているのにすれ違ってしまう、切なくてじれったい両片想いがたまらない。
こういうの好きな人、いっぱいいるでしょ？！？！
もっと多くの方に読んでいただきたい作品です。おすすめです！！