最後まで読ませていただきました。
こちらの物語は、大学生の「マサシ」という男の子が主人公で、ひょんなことから可愛いねずみたちが暮らす絵本の世界へ行ってしまうお話となっています。
その世界でマサシはねずみたちと、いわゆるまったりほのぼのスローライフを過ごすのですが、後半はもうびっくりな展開で思わず最後まで一気読み!!
前半でも時折、マサシの悲しい過去や思い、苦しい現実や葛藤など挟みこまれていますが、後半はスローライフからの一変!
私達が暮らすこの世界に置いて、色んな理不尽があったりしながら、誰もがマサシのような思いや苦しみを味わい、その人間的な悩みに、かなり共感出来、自分ごとのように感じ、涙無しでは読めませんでした。本当に号泣ものでした。
この怒涛な後半は、絵に描いたような前半のスローライフが見事に生かされており、思わず唸ってしまうような細かい風景描写や心情描写にすっごく意味を感じ、なるほどなーとすごく感じてしまいました。
そのスローライフで、また見事に『地球の未来』を描かれており、近い将来もしかしたら訪れる未来をSF小説のような形でも表現されており、作者さまの力量がとても光っている作品でもあるなと思ってしまいました。
また食べ物の魅せ方もとても素敵で、スローフード的な優しい食べ物をすごく食べたくなってしまいます。そして「いただきます」「ご馳走さまでした」の言葉の暖かさなど、私達が何気なく見落としいる小さな幸せの全てを事細かに書かれており、作者さまの小さな物事に対する思いや美しい繊細さがとても伝わって来て、幼い子供が読んでも素敵な物語だなととっても思います。
大人が読むと、「そうだったな」と再確認できるような、どこからでも小さな幸せを見つける事が出来るという教訓のようなお話がすごく優しく書かれており、読んでいて本当に心が温まります。ここまで気付けて、物語として成り立たせることができる作者さまに脱帽です。
特にラストが本当に大好きで、マサシの心情の変化や周囲の変化にとても勇気をもらえ、本当に明るく前を向ける作品となっています。
誰もがこの現実で、マサシのような苦しい険しい道を通ると思います。
だからもっともっと多くの方達にこの物語と出会ってほしいなと思います。
読めばもしかすると何かが変わるかもしれません。
それが些細なことであったとしても。
確実に一歩踏み出せる何かがここにある素敵な物語です。とてもおすすめです。