鏑木部長
会社に戻ると篠原さんにお礼と謝罪をする
篠原さん苦笑いをしていた
ドアの閉まる音を聞いて覗いただけで
車は見たものの私の事は知らなかったと
ロッカーに行き携帯を見ると
まるでストーカーの如く社長と篠原さんからの
鬼電着信入りまくり
留守電には社長の「クソばか野郎」の怒鳴り声が3分×3回入っていた…
鏑木部長は会社に出勤する事なく数日後
自己都合退職しました
あの日鏑木部長は大工さんの給料日という事で
皆が戻って来る前に社長に前借りをしようと早めに会社に来たらしい
(お盆月の大工さん以外は月末が給料日)
が、居たのが私一人
しかも銀行に大金をおろしに行くという
初めは何の気なしに本当に乗せていく気持ちしかなかったという
鏑木部長には借金がかなりあったようで
複数のカードでお金を借りては返しの自転車操業ばりの金策に必死だったみたいでした
あの日は私を乗せているうちに
一千万あれば生活も心も小学生になる子どもにも楽をさせてあげる事が出来る借金取りに苦しむ事もなくなる
お金を奪って逃げちゃおうかと
そればがりが頭から離れず
自分でも訳がわからないまま現場に行くなんて見え透いた嘘をついてしまったが
車を走らせながら冗談だよとも言えず
かといって引き返す事も出来ず
ずーと迷い葛藤していた
それに私を殺してまで奪うなんてことは
頭の隅にもなかったと言ってたらしい
現場に山田塗装さんが居てくれた時はほっとしたとも言っていたようでした
殺されると思い込んで一人ジタバタしていた私って……
いやそんな事は絶対ない
少しは殺して奪うシーンを想像していたに違いない!
一度タガが外れればブレーキが効かなくなる
あのときの鏑木部長の顔、目付きは
人を殺してしまう一歩手前の危機迫った顔だった
私にはわかる
人間なんていつ豹変するかわからない
ただ運が良かっただけ
殺される ちび @egoist7
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