解放
山田のじいさんがびっくりした様子でこっちを見てる
「何だ◯◯建築のねーちゃんじゃねぇか
現場さ来るなんてなした?」
「鏑木部長がちょっと現場に用があるって言うから……」
その時ちらっと後ろを見てみた
鏑木部長が車にもたれ煙草を吸っている
逃げないの?お金渡したんだから
それ持って早く行けば良いのに……
何やってんだろう
あっ!それより電話!
山田塗装さんに携帯忘れたので会社に電話してもらうようにお願いした
訳がわからない様子ながら電話をしてくれて携帯を差し出された
「ほれ」
頭を下げながら受け取る
「もし…」
「おい!涼子てめぇこら!何ふざけた真似してんだばか野郎!銀行に電話したらとっくに出たって言うし!いくら電話してもでねーし!ばか野郎!今警察に電話しようと思ってた所だクソばか野郎!」
「し…しゃちょう…」
「うるせー!言い訳は後から聞く!!!すぐ行くから待ってろばか野郎!」
一方的に電話が切れた…
くそ!何で被害者の私が怒鳴られるんだ
まだ震えが止まらないほど恐怖だったってのに!
もともと私に銀行いかせたあんたが事の始まりじゃない
そのせいでもしかしたら殺されていたかもしれないってのに!!
ばか野郎連発されるし
でも安心した私はその場に座り込み
20分しないうちに社長のスポーツカータイプのベンツが到着
先端のベンツのポールが日差しに反射してキラキラ光っている
会社からこんなに近かったんだ…
鏑木部長…まだ車の所に居る
もう逃げる気ないみたいだ
社長が車から降りて鏑木部長の所に駆け寄った
鏑木部長が頭を下げている
ずーと下げっぱなしだった
3分位して車から巾着袋を出して社長に渡しそのまま車に乗って鏑木部長は去っていった
そして私が鏑木部長を見たのはこれが最後でした
社長がこっちに歩いてくる
まず山田塗装さんに挨拶をし礼を言った
私も一緒に頭を下げる
山田塗装さんは金曜日中に仕上げておきたい箇所があったので施主さんに許可を得て外壁を修理していた
これは奇跡と言っても良いくらいの運の良さだ
また社長にばか野郎と言われながら車に乗り会社に向かう
車中で社長が事務の篠原さんが鏑木部長の車が出て行くのを見たと言った
やっぱり見てたんだ
良かった!篠原さんありがとう
これも奇跡
そして鏑木部長の心の葛藤で理性が勝った
犯行に至る事がなかった
これも奇跡
死ぬほど怖かったけど鏑木部長にも思いとどまってくれてありがとうと言いたい
たくさんの奇跡が重なって私の命を助けて頂いた
神様本当にありがとう
……
そして…途中自販機が目に入る
通りすがり私は思わず
「社長!コーラ買ってくださーぁぁい」
と叫んでました
結局コーラはなくポカリを買ってもらい一気飲みした
美味しい!めちゃくちゃ美味しい!
こんなに美味しかったポカリは今後の人生
もう味わえないだろう
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