「愛、憎しみ、生、性」これは”人間”の本質を問う美しくも歪んだ物語。

創作とはこうあるべき。

筆者が惜しげもなく晒けだした狂気と性癖と知性、卓越した文才が紡ぎだす人間模様――ヒューマンドラマ。
このジャンルにこれ以上ふさわしい作品を私は知らない。

決して感動に打ち震えるものでなく、決して心暖まるものでもない。
恐らくは相当に人を選ぶであろう問題作だ。

しかし、それを試さないのは何よりの機会損失である。
まずは是非あらすじをご覧いただきたい。

そして本編を読めば、狂おしい愛情、下卑た快感、後ろめたい背徳感、それでいてどこか切なく割りきれない感情があなたを襲うだろう。

まるで、奈落の闇が見える崖の縁を命綱無しで、じわり、じわり、と進むが如き読了感を味わうことになるだろう。

ああ、なんと素晴らしい。

それでいて本作は近未来SFであり、ミステリアスなラブストーリーでもあるのだ。

最後に私は筆者である、柳なつき氏にこう問いたい「あなたの目に人間はどう写っておられますか?」

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