盛りだくさんのエンタメ要素に読んでいて嬉しい悲鳴

異世界転生ものは数あれど、この物語はひと味もふた味も違う。

主人公の飛んだ先がこちらの世界で言う産業革命後の19世紀半ば過ぎで蒸気機関車も走ってる世界というのが、まずとても興味深い。
そして、転生する主人公が犯人確保の際に殉職した警視庁の現職キャリア警察官というのも、これまた興味深い。

物語のヒロインは陰謀で祖国を失った若き王女様で、主人公との出会いがまさに暗殺される一歩手前の汽車の中というのも、なかなかに新鮮だ。

一瞬ここが異世界でこの物語がファンタジーだということを忘れかけるほどに新鮮だ。

タイムスリップと異世界転生の二つの要素を併せ持つこの物語は、ファンタジーでありながら妙にリアルな部分に溢れていて、読者を「嬉しい」混乱の中に陥れてくれるのだ。

作者さまによると、設定は割と曖昧にしているらしい。
なので「こんな世界なんだなー、地球で言うところの19世紀から20世紀半ばくらいまでのものが混在してる『異世界』なんだなー」という感じで読む方が、物語に集中できるのかもしれないが、自分でこの世界の設定を作り上げながら読むのも面白いかもしれない。
実際私は、そういう作業を楽しみながら読んでいる。

どうやらこの世界は世界大戦前夜のような不穏な空気に包まれているが、この先転生した主人公とヒロインの王女様はどんな運命をたどるのだろうか。
失った祖国を取り戻す戦いに身を投じていくのか、それとも先ずは主人公とヒロインの青春物語となるのだろうか。

まだ11話目まで読んだ段階だが、ページをめくるごとに発見と楽しみがあり、いい意味で困ってしまう物語だ。

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