第2話

 「異世界というと?」


 私は恐る恐る問い返す。

 夢であると知りながらも、少し面白そうな雰囲気があったからだ。


 「あなたの今いる世界ではない他の世界に行ってもらいたいのです」

羽根人間は、微笑みながら私へ説明する。


 「なんで行かなくちゃいけないんですか?」


 「あなたは世界に退屈していませんか?」

 にやりとした羽根人間は、余裕があるかのように足を組み始める。


 「してませんが」

 ここはきっぱりと自分の意見を言った。


 「そうですか」

 微笑みが苦笑いへと変わり、まにゅあると書かれた本を一生懸命めくり始めた。


 羽根人間は頭をかき、歯をくいしばってきた。

 ペラペラと紙のめくる音だけが部屋に響く。

 彼の目は必死で、今にでも人を殺せそうなくらいの苛立ちすら感じられた。


 そうしてかなり時間が経った。

 大きなため息をついた彼は、本を閉じ作り笑いというには下手すぎる笑いを見せた。


 「分かりました。では、またお迎えにあがりますね」


 彼は、僕に手を振り後ろを向いた。

 私は突然にして光に包まれ始める。


 「では行ってらっしゃい。異世界に」


 「は?」


 僕の視界は瞬く間に真っ白になった。

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敗北を知りたい勇者さん @ILFA_lobi

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