眠り姫幻想

冷えた朝の空気に満たされた肺は

呼吸の痛みに震える

目覚めてしまったことへの失望

また今日という一日が始まることの


ベッドを抜け出すのは

もぬけの殻のわたし

真実のわたしはベッドの中で

終らない夢を見続ける


薄墨色の霧に包まれた景色は

まるで迷子のわたしを試すように

晴れることはない

夢現ゆめうつつにまで溢れる幻想


ねぇ、いつまで

籠の鳥を演じていればいい?


ここから脱してしまうのに

翼は必要が無いと知ってしまったわ

翔べなくても飛べる矛盾

気づかないふりで待っている




     『ゆらゆらと』・完


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ゆらゆらと 涼月 @ryougethu-yoruno

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