ここにあるのは鬱屈であり不条理であり、つまり現実である

 なんとなくこういう詩が読みたいなあと思っていた、その「なんとなく」の範囲になんとなく入っているような気がします。

 おそらく「私達」の人生は語るにも及ばない愚かでつまらないもので、それ故に生きることに肯定的でいることは難しいです。現実の上に立つことに難儀する、そんな人間もいるのです。
 この詩集に収録されている詩は(こういうと作者に申し訳ないかもしれませんが)美しくありません。まるで胸中にわだかまる感情をそのまま嘔吐したかのようです。
 しかし、時として精緻な人工物よりもあるがままの自然風景が心を揺さぶることがありますし、吐瀉物の中に飲みこんだ宝石が紛れ込んでいることだってあるのです。
 そして私はそれを肯定したいと思うのです。幸あれ。