セーレイベント終了まで

 続きだぜ。謎の骸骨騎士を倒すための情報を収集していくと、二代目セーレを憂いている派と恨みを持つ派に収束するな。まずどちらかを解決すべきだな。そのためにも骸骨が誰なのか知らないとな。このポーションは手作りだな。なんてガタイで分析する。


「回復できましたか?」


 ウッス! これで元気いっぱいだぜ! ここからは回復を待つかのように英霊の墓へシャワーも浴びずに急行する。

 行ける場所は2パターンあり、反逆者のアジトは骸骨剣士のパワーアップを防げないけど、敵の雑魚が減りまっす。

 家臣の墓は骸骨の正体がわかり、うまくいけば倒す手段までもらえるけど、ザコ敵が強化されるので悩みどころさんです。


「ホルガン、お前は敵の出現場所がわかるんだよな?」


 ウッス! 俺のパキギメ脳内によると、過去の忠臣の墓が怪しいっす!


「わかった。ではイケメンらしく堂々と墓参りといこう」


 墓を選んだ理由だけど、RTA的には敵が多少強かろうと解決が早くて得する方がいいんだよね。だってさあRTAなら速いほうがいいじゃん。

 骸骨剣士の攻撃パターンは練習済みだし、セーレ用とは言え専用装備がもらるからね。あとは適当にボスを倒しちゃえばいい。アクションゲー得意なんで、激エロ神話存在が出なければ楽勝だぜ。

 俺はいそいそとシャワーも浴びずに家臣の墓まいりに行く。


「霊廟ってやつか? 豪華だな」


「うむ、イケメンな国の家臣だ。よりイケてる墓に弔うのが礼儀というもの」


「少し空気が冷えていますわ。凍結保存でもなさっているのですか?」


「いや、涼しい場所になるようにはしているが……何かいるぞ!」


「勘がいいようだな。それとも先代への敬意だけは一人前か」


 はい出ました骸骨騎士。けどちゃんと準備してるから安心!

 事前にセーレに相談することで、アンデット特攻アイテムが20以上、30以下? ほど借りられます。


「まずはこいつらの相手をしてもらおう」


 墓守の骸骨軍団か。別に強敵ではないです。

 事前に準備しておいたホーリーボムを投げつけて一斉浄化しましょう。 


「ぬう……対策してきたか」


 当たり前だよなあ? 敵が幽霊系統だとわかれば、セーレの国庫から武器ゲットするに決まってます。魔王なんで財力もありますし、そういう領地に対策がないなんてありえませんからね。タイムを短縮していきましょう。


「だがその程度で勝った気になるなよ。まだまだ呼び出せる。かかれい!!」


 大量の骸骨兵士が四方八方からきます。ここは技の開発タイムです。経験値は普通なので、技の熟練度を高めましょう。


「セーレ、ボスは任せるぜ。そこまでの道はオレらで作ってやらあ!」


 マグナムとサーニャに任せておけばバッチェさぽーとしてくれるので、ホルガンくんは強めの骸骨に攻撃を続けましょう。

 目標は槍の範囲攻撃アップと燃費と速度アップ。剣は飛ぶ斬撃の連射性能と五連撃を七連くらいにしましょう。


「部下だけは優秀なようだな。すべて任せてはどうだ?」


「断る。これはあくまでボクと先代の問題だ。仲間に任せきりではそれこそセーレの名が廃る」


 会話がはじまっていますが、気にせず細いシーチキン野郎から経験値をスッチョムしましょう。さぼると今後のタイムがオヒリヒンになります。何事も真面目にやる必要があるんですね。まるで収録中にガム噛んでるようなやつはタイムが出ませんよ。


 『瞬巡居合』を習得しました。


 やったぜ。これは移動と同時に数発の居合い切りを叩き込むという技です。ほぼすべての行動からキャンセルで繋がりますし、移動距離もそこそこ長いし多段ヒットするうえ距離によっては相手の背後に回り込めるというマジで便利技です。ほんまホルガンくんは最高やな。なんかスポーツとかやってたの?


「強い。貴殿ほどの男がなぜセーレに味方する? 聞けばつい最近知り合ったというではないか。どこで先代の意思を継ぐにふさわしいと判断した?」


 んなこと考えてないです。先代は既に死んで知るうえに会ったこともないので、こちらにとっては今のセーレがセーレそのものです。頼りない今のセーレという認識がないんですね。逆に名前しか知らん前のセーレこそ勝手に足かせにならないでくれよなー頼むよー。RTAで悩むパートとか邪魔だって、それ一番言われてるから。


「よそ見をしている余裕がるのか? 騎士アルフィミィ」


「私の正体にたどり着く程度には優秀か」


「イケメン騎士アルフィミィ、中性的なイケメンで剣の達人であったと伝えられている。中性的であるがゆえに、己の存在すらも操り境界を行き来する。有名と無名、死と生、それらを意思だけで切り替える。別名境界剣士」


 はい敵が判明しましたね。お前この世界じゃなかったらやべーチートだぞ。

 死んだらあの世に行く、というルールというか境界を操作して、まだ死んでないとか骸骨としては死んでないとか、自分の名前と存在を境界反復横跳びさせているわけです。ずるくね? あと中性的ってそういうことじゃなくね?


「それで? わかったところでどう勝つ?」


「知れたこと。我が剣を、斬撃を境界を超えて送る」


 セーレの転送術ですね。これで攻撃そのものを届かせます。

 お絵かきソフトのレイヤーをイメージしてください。

 一番下に風景とか世界があり、その上にアルフィミィのレイヤーがあります。

 上のレイヤーに攻撃する手段がないと詰み。まあこの世界なら手段とか腐る程あるからへーきへーき。大丈夫だって安心しろよー。


「ならば見せてみよ!」


 セーレとアルフィミィのバトルは無視でいいです。黙々と技レベルを上げましょう。斬撃を三個は同時に飛ばせるようになりたいですね。


「相棒! 敵が来たぜ!」


 マグナムの呼びかけで周囲を見回すと、骸骨以外のアンデットが増えています。

 おおーいいぜいいタイム出るぜこれおい。増援なのにタイム出るのが不思議な兄貴もいるかも知れませんが、アルフィミィを冥府から呼び戻した悪人がいるわけですね。そいつが旗色悪くなると攻め込んできてくれます。


「まとめて倒すチャンスですわね」


「指示をくれ!」


 ザコ散らしを最優先で、ボス格はこっちで処理します。二人とも広範囲攻撃多めでオナシャス!


「了解!」


 さてここからは強化魔法をかけて敵の隊長を倒しましょう。ミイラや骸骨には少しだけお体の方が違うタイチョウがいます。そいつらを倒すと敵が弱体化もしくはザコが形を保てずに消滅しますので、ドゥンドゥンやろうじゃねえか。

 居合で一気に距離を詰めてタイチョウのプリケツを切り刻んでいきます。この技マジで便利だな。


「ガキに手こずるな! なんのために復活したんだアルフィミィ!」


「黙って見ていろ。お前の部下になった覚えはない。子供に負けそうなのはお前だろうが」


 別にこいつら仲間じゃないんですよね。今のセーレを試したいアルフィミィと、国家転覆を狙うおっさん。まあ最後には喧嘩しますわな。プランがガバガバどころかスカスカ。テロの末路。


「こんなガキどもに私の国が、私の栄光が!」


 お前のじゃないってはっきりわかんだね。お前を、冥府へと誘う。俺が……RTAアサシンだ。決着をつけるぞ。アサシン……パンチ!!


「ばかなああぁぁ!!」


 はい討伐完了です。あんま技覚えないじゃねえか。はーつっかえ、やめたら敵。

 ここからはセーレがアルフィミィに勝てばイベント終了です。


「セーレさんを援護しますか?」


 (援護はし)ないです。セーレの問題はセーレが解決したい。あたりまえだよなあ? チラチラ見てましょうね。


「ありがたい。己の力で勝たなければ意味がない!」


「心構えだけで勝てると思うな!!」


 全体的にアルフィミィ優勢です。なのでセーレが境界剣技をどれほど早く覚えてくれるかがRTAのみどころさんですねえ。あくしろよ。


「これでどうだ!」


「甘い! そんなもので我が境界は切れぬ!」


 早くしろよー。おー何やってんだよあくしろよ。


「そんなものか? 先代はもっと強かったぞ」


「ならば超えてみせるだけだ! 剣でもイケメンっぷりでも!」


 すみませーん、RTA走者ですけどぉ~ま~だ時間かかりそうですかね~?


「もう少し、もう少しで何か掴めそうなんだ……」


 おっせえよ。けどこのセリフが来たらもう安心! ここからは運が悪くなければ開眼して終わりです。やったぜ。


「なのに……やはりボク一人では、何もできないのかな……」


 ふーざーけーるーなー! お前が諦めてどうすんだよ私が全然気持ちよくねえじゃんかよ。このルートは先代の剣の力でなんとか攻撃が通るようになるんですが、セーレが覚醒していないので、結局はホルガンくんの成長に繋がりません。

 おかしい、ミスはなかったはず。かなり最短ルート……いや待てよ。最短過ぎて全部ホルガン任せだったから覚醒の覚悟とヒントが足りないのか?


「こんな半端なイケメンでは疑問を抱かれるのも無理はない。だがまだだ! まだボクは立っている!」


 よし、まだどっちルートでもない。がんばえー。いそげー。


「先代の力がくすぶっているか。ならばどうあがいても超えねばならん壁を作ってやろう」


 骸骨剣士が四人になりました。一人に一体ぶつけてくるつもりです。こりゃいいですね、ええ。いいじゃないですかこの、経験値感覚。倒せない敵じゃないんで全員のレベル上げしましょう。


「おのれ仲間に危害を加えるとは、やるならボクだけを狙え!!」


「断る。これは縮図だ。弱い王の下につく民はこうなるのだよ。魔王セーレ」


「ぐっ……どこまでも名が重いね」


 さて強化魔法かけてひたすらアルフィミィを攻撃しましょう。全部の技をとにかくぶつけていけばうん、おいしい!

 アクションゲームとしては簡単です。こいつの境界剣技は実行に移す瞬間に少し光ります。そこにパリィかますか逡巡居合で背後に回りつつ斬撃入れればいいだけ。

 はい楽勝。アクションゲーマーは序盤の敵なんか楽勝なんだ。悔しいだろうが仕方ないんだ。


「これは少々厳しいかもしれませんわね」


 サーニャがピンチですか。あの子もどっかでパワーアップしてあげたいです。RTA的にも大変おいしいので、終盤までスタメンかもしれませんね。


「オレは問題ねえ! サーニャ守ってやりな!」


 ウッス! マグナムマジで頼れますね。なんでそんな強いの? 勇者科じゃないから主人公補正とか無いよね?


「お兄様はどうかセーレ様を。この程度の敵、一人でも倒してみせます」


 一応戦えるレベルっぽいですね。これはセーレの覚醒までの時間くらいあるか?

 セーレと戦っているアルフィミィに接近して攻撃を続けましょう。


「これはボクが決着をつけなければいけないんだ。どうかサーニャさんの援護に行って欲しい」


 うるせえ。分身使ってきた時点で破綻してんだよ。ほら見とけよ見とけよ~。当たろうが外れようが攻撃を続けましょう。こっちの反射神経で敵の攻撃は避けられます。うまくいけば境界斬りを覚えられるので、とにかく攻撃あるのみ。


「相棒! 分身は倒したぜ! 好きにやりな!」


 ナイスゥ!(本音)ナイスゥ!(本音)これであとはセーレ次第。こいつ倒さなきゃご褒美はないんだぞ?


『閃きレベルが2になりました』

『次元のずれた相手への攻撃ヒントを得ました』


 ウヒョー! ウッシ! ウッス! ホルガンくんがどんどん強化されていきますね。ちょっと強化魔法かけ過ぎで血が出てますけど気にしない。このままイクゾー!デッデッデデデデ!カーン!


「健気だな。それほどあの出来損ない魔王が大切か?」


 いや全然。セーレよりタイムが大切なんじゃい。

 セーレ諦めんなよ。どうしてそこで諦めるんだそこで。できるできる絶対できる。私だってRTA頑張ってんだから負けんなよ攻撃くらってないのに強化魔法かけっぱなしだから永続ダメージくらってるようなもんなんだぞ。


「ホルガンが、先代との因縁など何も無い男が……血を流しながら戦っているというのに。ボクは……この無様さは何だ……何がイケメンだ。何が魔王だ。できたばかりの友人に任せっきりで遅れを取る魔王なんて……いてたまるかあああぁぁぁ!!」


 セーレの力が爆発しました。スロースターターはRTA向きじゃないってそれ一番言われてるからな。


「なんと荒々しい魔力だ。先代の美しき闘気には程遠い」


「それがどうした」


「何だと?」


「友に血を流させ、後方で見ているだけならば、美しさなど、イケメンかどうかなど知ったことか! 先代は先代、ボクはボクだ!」


 セーレの攻撃が届きましたね。完全に勝確です。長かった……長かったぞ。


「イケメンでなくなることを、ボクは少しも恥じたりはしない! ここで前に出られないものが、魔王であるものかあああぁぁ!!」


 爆発した魔力がダメージを与えていますね。こいつここまで覚醒する段階じゃない気がしますがままえやろ。


「気合だけでどうにかなるわけではないと教えてやる!!」


「無駄だ!」


 もう完全に見ているだけで終わります。遺恨を残して無駄なイベントが発生しても嫌なので見守りましょう。


「ぐがああぁぁ!!」


「お前の攻撃をお前の背中に転送した。もうボクに触れることすらできないぞ」


「それだけで勝った気になるなよ!」


「ボクの攻撃はそのまま、お前の攻撃はお前に転送される。これで完全に終わらせる! 秘剣・転移無法剣!!」


 アルフィミィの体が十字に切り裂かれて消滅していきます。こうして終わってみると最良の形に近いですね。おーっほっほっほ、こりゃいいタイム出てますよ。


「よくやった。冥府でしかと語ってやろう。先代が悲しまぬようにな」


「ありがとうございます。必ずやこの地を美しき楽園にしてみせます。どうか安らかにお眠りください」


 撃破したところで今回はここまでです。

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異世界RTA劇場はーじまーるよー なろう異世界ファンタジーでRTAするプレイヤーたちの記録 白銀天城 @riyoudekimasenngaoosugiru

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