臆病さが故の焦燥。しかしそれはやがて……。

 2月14日と聞いたら、何を思い出しますか? やっぱりヴァレンタインですよね? でも、高校3年生や中学3年生にとっては、別の意味がありますよね? 本作はこの二つの2月14日の日の出来事がつづられています。
 友人たちよりも早く志望校に合格してしまったがための、焦燥。不安。もしかしたら友人たちより自分が劣ってしまうのでは? 溝が出来るのでは?そんな思いから読書にのめり込む主人公。その主人公の想いは、読んでみると理解でき、共感を呼び起こすと思います。
 しかし、主人公はふと、あることを思い出してスマホを手に取る。今日は2月14日、試験の日。そしてやっぱり……。
 主人公のスマホのメールに、ちょっと嬉しくなる。そんな素敵な作品です。短編ながら主人公の心の揺れを見事に表現しています。
 是非、ご一読ください。