第30話 文章漫才:デマ漫才

『2018年3月9日(金曜日)』


 所詮漫才なんてデマカセだ。

 この漫才なんて特にデマカセだ。

 現代ドラマと騙り、いつの間にか文章漫才というファンタジーを行っていた。


 時事は移り変わる。

 次の日は何が起きているだろうか。

 皆目見当もつかないまま、明日はやって来る。


 時事漫才は移り変わるデマカセだ。

 この日にしか存在しない、嘘のような嘘を並び立て、

 それに対して嘘の真でツッコミを入れ、いや、真の嘘でツッコミを入れる。


 一瞬でも、笑ってくれた人がいるのなら、

 それはとても有り難いことだ。 




主なニュース:

・ツイッターで、デマは真実より1.7倍のリツイートで拡散される調査結果。


ボケ:はいどうも、よろしくお願いします。

こみ:あっ、3月9日に2本書いて、今日で終わりなんだ。

ボケ:そう、全30話はこれで終わりだよっ。

こみ:主導権、いつの間にかオマエが握ってたんだ。

ボケ:なんせ僕は『はいどうも、よろしくお願いします』って言う係だから。

こみ:あぁ『2人:はいどうも、よろしくお願いします』にすれば良かった。

4人:はいどうも、よろしくお願いします。

こみ:いや今、誰が言ったんだよ。

ボケ:僕と犬、猿、雉。

こみ:桃太郎か、んで結局俺入ってないじゃん。

ボケ:僕らのタイミングに合わせることが出来なかったからね。

   さっ、犬、猿、雉、帰りなさい。

 犬:四つ足の動物に何も与えずに帰らせるなんて、鬼か。

こみ:というかまず普通にしゃべるんだな、日本語。

ボケ:文章上の漫才だからね。

 犬:ツッコミのお兄さんでいいんで、何かご褒美ください。

   イルカショーのイルカにエサやるみたいに。

こみ:いや、食べ物持ってきていないし。

 犬:食べ物じゃなくていいんです。

   有り難いお言葉、そう、格言でもいいんです。

こみ:格言でもいいの? じゃあそうだなぁ、

   四つ足であることに甘えないこと。

 犬:ハハァ! 有り難き幸せ!

   (煙が出てきて、ドロンと消える)

こみ:消えた! 変な格言を言ってみたら喜んで消えた!

ボケ:成仏したんだね。

こみ:犬のオバケだったんだアイツ!

ボケ:猿も雉もオバケだよ。

 猿:あたすにも格言よろしくお願いします!

こみ:一人称が独特だな……時事漫才やらせろよ!

   一匹一匹に格言やっていったら、それで終わるわ!

   何だこの最終回! 最終回は時事だけでやらせろよ!

ボケ:まず、成仏させてからさ。

こみ:これ第30話だからな! じゃあすぐ終わらせる!

   一人称は凝らなくても、皆、君のことを分かってくれるよ。

 猿:ハハァ! 有り難き幸せ!

   (煙が出てきて、ドロンと消える)

 雉:では私もお願いします。

   趣味はカラオケなので、そこの考慮もよろしくお願いします。

こみ:……ケンケンという鳴き声を無理してカラオケで挟まぬよう。

 雉:なんと! つい挟んでしまう私をご存じで!

こみ:いや知らないけども、なんとなくで……。

 雉:素晴らしいです! もう1格言お願いします!

こみ:いやすぐ消えろよ! 第30話だぞ!

   約1ヶ月毎日書いてきたんだぞ! 何だこの最終回!

 雉:そこをなんとか!

こみ:……格言は1日1回もらうだけで十分。

 雉:ハハァ! 有り難き幸せ!

   (煙が出てきて、ドロンと消える)

ボケ:……ありがとう、和尚。

こみ:誰が成仏させるにはやっぱり和尚だね、だ!

   時事はどうした時事は!

ボケ:ツイッターで、デマは真実より

   1.7倍のリツイートで拡散される調査結果が出たみたいだね。

こみ:不思議だよな、同じ言葉なのに。

   デマのほうがリツイートされやすいって。

   言葉の段階では、それが真実なのかデマなのか分からないのに。

ボケ:いや犬などのオバケのほうが不思議だろ!

こみ:こっちの台詞だわ!

   こっちの台詞だけど

   そこに触れると時事出来なくなるから触れなかったんだよ!

ボケ:もう最後だし、時事漫才しなくてもいいよね。

こみ:最後こそ時事漫才するんだよ!

   デマのほうが一定数に6倍近く速く達していた調査結果!

ボケ:じゃあ流行りそうなデマでも考えようか。

こみ:まあそっちのほうが犬、猿、雉よりも時事っぽいな。

 犬:あっ、どうも。

 猿:あたすたち、呼ばれたので来ました。

 雉:また格言をよろしくお願いします!

こみ:呼んでねぇよ!

ボケ:いや君が今『犬、猿、雉』と言っちゃったから。

こみ:そうなのっ? 言うと出てくるシステムだったのっ?

 犬:呼ばれました。

 猿:あたくす、呼ばれてしまいました。

 雉:格言産みマシーンがいるということでワクワクしてます!

ボケ:あっ、今僕が言った分がさらに出てきちゃった。

   これで全員で8人になった。

こみ:おい! 最後なんだよっ! 第30話なんだよ!

   時事漫才をやらせろよ!

7人:もういいよ! ありがとうございました!

こみ:……どうやら、もういいよの係は俺だから、

   俺が言うまでは終わらないようだな。

ボケ:クソっ、

   何だか分からない状況で終わらせようと思っていたのにっ。

こみ:嫌だよ、集大成でこんな終わり方。

   でももう終わらせ方も無いから、もういいよ。



 最後に、

 俺の日記で締めさせて頂こう。

 また

 新しい時事漫才が書けることになればいいな、と、

 今はそう思って、幕を閉じる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

スマート漫才師ニュース 伊藤テル @akiuri_ugo5

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ