剣と魔法の世界に、ここまで丁寧に兵站を持ち込んだ作品を、私は知りません。
北欧ではその収穫量によって人口が増減していたといわれ、ドイツ人はフルコースを作る事ができるといわれているジャガイモを、異世界へ持っていくというアイデアに、まず驚かされます。
知識として、痩せた土地でも育つ、高カロリーである、栽培が比較的容易であるという事は知っていても、実際に育てる苦労を知らない人には書けない展開に目が行きがちですが、それ以外にも人間関係や、文化の違いから来る一悶着など、しっかりと地に足をつけた物語です。
忘れてはいけないのが、その人でした。
私事になりますが、私は北海道という土地に、いい思い出がありません。友達に誘われ、通算で5回以上、合計日数一ヶ月程度、旅行に行った事がありますが、全くいい思い出がなく、値段程の味に出会えずに終わるなど、悪い思い出しかないのです。
しかし、だからこそ思います。
この登場人物たちに出会っていれば、きっと違った印象になっていたのだろうな、と。強さ、優しさ、悪い点にもなりますが、酷薄な所…それら全て、人間の魅力なのだと感じられました。
ジャガイモも、私には嫌いな食べ物なのですが、きっと、うんと美味しいのだろうなと、ふと思わされる事がある作品でした。
まず目を引いた事が、綿密に組み上げられた設定。
細かい描写に、親切な注釈、目の前で起こっている事を当事者が文章化しているかの様なリアリティ。
それらのファクターに支えられた設定だからこそ、より他の作品との“違い”を感じられる。
登場人物全てにまるで参考にしている人がいて、その人達に意見を聞きながら書いた様なリアルさが脳内で描写をより鮮明にしてくれる。
いい意味で評価数に対して、クオリティが見合っていない作品だと言う印象を受けた。
元々読んでいた作品だったので、改めて読み返して見たいと思う。
ありふれた異世界モノの中で、この作品であれば他人に紹介して恥じないと思える。
更新頑張って下さい。
楽しみにお待ちしております。