純白の悪魔は月を見上げて涙を流す

番外編

「千夜、スーパーブルーブラッドムーンって知ってる？」

僕は今朝ニュースで見た月の話を話題にあげた。

「え？なにそれ？知らないけどムーンってつくから月だよね？」

「そうだよ。明日の夜に出るらしいんだ。なんでも３つの現象が一気に起こるんだと。」

「へー！なんかすごい！」

「明日一緒に見ようよ。」

「えっ！いいの？やった！」

翌日、僕らは町の小高い丘に来ていた。

「そろそろ始まるっぽいよ。」

「写真撮っておかなきゃ！」

「月なんて綺麗に撮れないだろ。しっかり目に焼き付けておきな。」

「うん。春輝と一緒に焼き付けておくね！」

僕は照れくさかったので小さくうんと答えた。赤黒く染まり行く月を見上げて僕はずっと昔に見た故郷の空を思い出していた。

隣で目を輝かせながら月を見上げる千代を見て、僕もこの光景を目に焼き付けておこうと密かに誓ったのだった。