間違ってる。

 まるところ。


 二人(一人と一匹?)は、地球外生命体であり、それぞれ長きにわたり対立してきた種族なのだという。

 その対立の舞台が何故だか地球に至り、子猫もどき(種族名があるらしいが、何度聞いても直には聞き取れなかった)は地球人の味方を得て隣人(こちらの種族名も、同じく聞き取れなかった)をやり込めるつもりでいたらしい。


「で? どうしてあの格好?」

「え。だって…そういうものなんでしょう?」

「そうだよ。ああいう格好だと地球受けするって聞いたよ?」


 ちゃぶ台を囲んで朝食を食べる一人と一匹は、不思議そうにただしを見つめた。

 目頭めがしらを揉んだ直は、しばらくして、しぶしぶと目を開けた。やはり、消えてなくなってはいてくれない。


「何からどう情報を得たか知らんが、間違ってる」

「えええーっ?!」


 寝不足の頭に響く頓狂とんきょうなユニゾンに、直は、静かに瞑目めいもくした。

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魔法使いへ至るまで 来条 恵夢 @raijyou

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