27話 茜と放課後デート♪

 放課後、体育祭実行委員の話し合い後。

 俺とあかねは駅前の繁華街に来ていた。

 理由はすずちゃんの誕生日プレゼントを買うためだ。

 

 俺と茜は幾つか店を見て回り、凉ちゃんの誕生日プレゼントを選んでいた。

 俺は女の子がよく好むぬいぐるみなどを売っている店で、五十センチ程の熊のぬいぐるみを買った。

 茜はその間に別の店でなにか買ったらしい。

 茜は可愛いからあまり一人で行動してほしくないのだが……こほん。

 なにを買ったか尋ねたが、茜は答えてくれたかった。

 

「さて、これからなにするか」

 スマホで時刻を確信したところ、既に六時半になっていた。

 あまり長々とデートする時間はない。

「そうですね──あっ、あそこ行きましょう!」

 茜はある方向を指差しそう言う。

 俺はその方向に目を向ける。

「ゲームセンター、か」

 そう、茜が差していたのはゲームセンターだった。

「そうだな、久しぶりに行くか」

「はいっ!」

 俺は茜に腕を引っ張られながら、ゲームセンターに足を進めた。

 

 やはりと言うべきか、ゲームセンターの中は騒音に包まれていた。

 ゲーセンって、なんでこんなに五月蝿いのかね。

 そう思いながらも、俺は茜に付いていく。

「茜、なにをするんだ?」

「そうですね、まずはあれをしましょう!」

 茜が差したのはプリクラ機だった。

「プリクラ?」

 確か、あの中に入って写真を撮るんだっけ?

「さぁ、早く行きましょう!」

 茜は興奮気味にそう言うと、俺を引っ張り一台のプリクラ機に入った。

 入る瞬間、表に『カップル専用』と書かれていたのは気のせいだろうか。

 気のせいじゃないんだろうなぁ……

 茜ならやりかねない。まぁ、困る程じゃないけど。

 茜は液晶画面で、なにか操作している。

 俺はなにがなんだか全く分からないので、茜に任せることにした。

 

 それから少しして、茜は「よし」と言い画面から離れた。

「準備できました!」

「おう、それじゃあ撮るか」

 そう言うと、茜はニヤリと笑う。

「実はですね、この台は『カップル専用』なんですよ」

「うん、表に書いてあったな」

「はい、そうですね。それでですね、どうやら写真を撮る際にお題が表示されるそうなんですよ」

「なるほど」

「なので、そのお題通りにやってくださいね♪」

 その時の笑顔は、とても素晴らしいものだった。

 ホント、良い顔で笑うよ。

「それじゃあやりますよっ!」

 茜がそう言うと、画面に文字が表示された。

 

 キスをしろ。

 

 ………………………………………………は?

「なにしてるんですか、早くキスしますよお兄ちゃん!」

「………………」

「お兄ちゃん、んぅー」

 茜は目を閉じ唇を近付けてくる。

 さ、最近の若者はプリクラ機の中でこういうことをするのか……

 衝撃のあまり、思考が停止していた俺は、全く関係無いことを考えていた。

 

「はむっ」

 

 ぼーっとしていると、突然茜は俺の唇を塞ぐ。

 そして、俺の口の中に舌を入れてくる。

 瞬間、パシャッと音が鳴り、画面の下からなにかが出てきた。

「んー! んんっ!」 

 俺は唇を話そうとしたが、茜は俺の首に腕をまわし、離れようとしない。

 その間にも、茜は舌を動かす。

 時々舌同士が触れて、その度に茜は舌を絡めようとしてくる。

 俺はそれを必死に避ける。

 

 結局、茜が解放してくれたのは、三分程経った後だった。

 

 

   ◇妹◇

 

 

「にへへ~♪」

 茜はプリクラを掲げ、珍妙な笑い声を上げる。

 そんなに嬉しいのか。

 そう思い、俺は手に持っているプリクラに目を落とす。

 そこには、俺と茜が濃厚なキスをしている姿が撮されていた。

 なんと言うか、キスしてるところを第三者目線で見ると恥ずかしくなるな。

 俺はポケットにプリクラを滑り込ませると、茜に目を向ける。

 未だに、プリクラを見つめにやけていた。


 それから俺と茜はUFOキャッチーゾーンに向かった。

 と言っても、なにか欲しい物があるわけではない。ただ、やってみようと思っただけだ。

 UFOキャッチーなんて、そんなもんだろ。

 

「お兄ちゃん! あれ欲しい」

 そう言い茜が指差したのは、水色の丸いクッションのような物だった。

 よく見ると、目らしき物が付いていて、まるで某RPGに登場するスライムのようだった。 

「あれ絶対ふかふかしてるよっ!」

「そうだな、あれを取るか」

 俺はそう言い、スライムクッションのある台に向かう。

 

 俺は財布の中から百円硬貨を一枚取り出し、台の投入口に入れる。

「お兄ちゃん、百円だけでいいの?」

 茜が不思議そうに訊ねてくる。

 確かに、UFOキャッチーと言えば五百円などある程度数を入れてチャレンジする物だろう。

 だが、俺の場合は必要ない。何故なら、 

「一回で取るからな」

 そう言うと、俺はアームを動かすボタンを押す。

 アームは横に移動し、俺は丁度クッションのところで手を離す。

 そして二つ目のボタンを押し、アームをクッションのまで進める。

「えっ? ちょっと行き過ぎじゃない?」

「大丈夫だ」

 俺はそれだけ返し、アームに目を向ける。

 アームは開き、ゆっくりと降下する。

 そして、クッションの後ろの方を掴み持ち上げた。

「やった!」

 茜が喜びの声を上げた途端、クッションはアームの隙間を滑る。 

「あっ」

 だが、クッションが落ちることはなかった。

 何故なら、クッションのにアームを引っ掻けてあるからだ。

「お兄ちゃん凄いっ!」

 その光景を見て、茜は驚き声を上げる。

「ま、この程度は楽勝だな」

 クッションはきれいに穴に落ち、俺は下の取り口からクッションを取り出す。

 うっわ、確かにふかふかだっ!

 俺はクッションのふかふか具合に驚きながらも、茜に手渡す。

「お兄ちゃん、ありがとう!」

 その時の茜の笑顔は、今日一可愛かった。

 

 

   ◇妹◇

 

 

 それから他の物で遊んでいると、ふとスマホが震動する。

 ポケットからスマホを取り出し確認すると、メールが一件届いていた。

 

 葉雪はゆきにぃさん、そろそろ夕飯を作り始めますが、今何処にいますか?

 

 差出人はかえでちゃん、どうやらもう帰らなければならないらしい。

 メールを閉じ、時間を確認するともう七時になろうとしていた。

 

「茜、残念だがそろそろ帰る時間だ」

 そう言うと、茜は「はーい」とすんなり返事をした。

 いつもなら駄々を捏ねるのだが、今日の茜は違うらしい。

 

 

 

「また、こんな感じにデートするか?」

 帰り道、俺は茜に訊ねる。

「ゲームセンターはもういいですけど、お兄ちゃんとデートはしたいです」

 茜は俺の右腕に顔をくっ付けながらそう言う。

「お兄ちゃん、今日は楽しかったですか?」

「あぁ、楽しかったぞ」

 俺は「それに」と続ける。

「茜と一緒だからな」

 そう言うと、茜は顔を真っ赤に染める。

「えへへ、そうですか、お兄ちゃんは私と一緒だとなんでも楽しいんですね♪」

 茜は照れ隠し気味にそう言い微笑む。

「そうだな、ずっと一緒にいたいと思うくらいには、茜といて楽しいな」

 そう言うと、茜は更に顔を赤くする。

「そ、それはっ! も、もしかしてプロポーズですかっ!?」

 茜は取り乱しながらそう言う。

 可愛い。

「まぁ、プロポーズって程大層なモノじゃないけどな。茜がよければ、これからもずっと一緒にいたいなってだけだ」

「お、お兄ちゃんがそこまで私のことを……っ! わ、私もお兄ちゃんと、ずっと、ずぅぅぅぅぅっと一緒にいたいと思ってますよっ!」

 俺は「そうか」と返し、茜の頭を撫でる。

「んぅっ!? ……にへへ、気持ち良いです♪」

 茜は一瞬驚くが、すぐに嬉しそうに微笑む。

 もう、茜が一番可愛い。

 俺はそう思いながら、茜の頭を撫で続けた。

 

 

 家に着く前に、茜が暴走発情したのはお約束だ。

 

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妹ハーレム ~どんどん増える妹たち~ 吉乃直 @Yoshino-70

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