くすりと笑えて、じーんと涙腺が熱くなる。ほんとうに素敵な小説を拝読させていただきました。さらりと読める短編なので、是非ともたくさんの御方に読んでいただきたいです。題名の意味が明らかになった時に、きっと胸が熱くなるはず。生きているうちに気がつければよかったのだけれど、死んでからも気づけずに悲しみ、恨み続ける人はたくさんいると思います。なので、最後に彼が気づくことができたのは決して遅くはなかったのだと、私はそう考えます。
誰でも自分の利益を優先する。これは動かし難い事実だ。でも、人を思う優しさは捨ててはいけない。それをコミカルにテイストしながらすとんと読者の心に置いてくれる。読み手に対する優しさを感じさせる作風に感銘を受けました。
鮮やかな起承転結、途中で飽きさせないクスッと笑える小ネタの連続。M-1グランプリの必勝法にも通じる、見事な構成だと思います。主人公が考える「天国行きの電車に座る方法」の数々は、明日から電車に乗るとき、きっと思い出して笑ってしまう…笑でも、それだけで終わらないのは、この作品全体が著者の心の優しさで支えられているからだと感じました。
電車でのネタが面白く、ドラマには共感できました。短いですが、とても良いお話だと感じます。
満員電車の席取りという、ごくごく有り触れた場景ですが、この作品は死後の世界、そして人間ドラマとして描かれています。正直、そう来るか……と、その発想にやられました。席取りの技術など、バカバカしいのに、至って真面目に実行する主人公のカッコよさは必見!
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