ガラス玉の幸福論

作者 須和部めび

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★★★ Excellent!!!

 不幸続きの主人公は、黒猫を助けようとして三途の川を渡る。しかし、その黒猫は死神であり、主人公は何かの陰謀に巻き込まれた可能性が出てくる。案内人の猫は地方の侯爵であり、主人公を助ける。そんな中、主人公は三途の川のほとりで、亡くなった実の弟と再会をする。しかし何故か弟の記憶はなくなっているようなのだった。死者の国に行こうとした主人公は、猫たちの王に出会うが、それはかつての祖母の飼い猫で……?
 死神の猫。侯爵猫。王女猫。大臣猫。研究者猫。助手猫。猫だらけなのに、どの猫もキャラクターが細かに描き分けられていて、読んでいてシリアスなのに、想像すると笑える部分もあるという猫好きにはたまらない作品だ。ここで謎の鍵となるのは、博士猫である。哲学に通じ、生死論にも通じ、とにかくそのキャラクター通りに博識である。博士猫によれば、人は不幸と幸運のチケットを持っているのだという。そしてそれが、主人公の度重なる不幸や、弟の死や記憶喪失にも関係しているらしい。
 そんな中、猫たちを襲う「黒き者」が出現! 果たして主人公や弟、猫たちの運命は⁈ 謎がつまびらかになるたびに引き込まれる作品。
 あなたの手にしているチケットは、幸福ですか? それとも不幸ですか?
 是非、ご一読ください。

Good!

弟の死、祖母の死。

自らの死。

辿り着いたあの世は猫に秩序立てられた奇妙な世界だった。

生きている時の思い出の川に手を伸ばし、掬ってその色を確かめる。

プリズムを介したような幻想的な光景でありながら、生きることを死にながらも考えている。

その生を幸福だと決めることは難しい。運命に弄ばれた不幸だけども、意味はあったと現段階でも思う。

様々な思いの連鎖の収束の形を、楽しみに思います。

きっと幼い頃に集めたガラス玉のような、素敵が映っているのでしょう。

★★★ Excellent!!!

テーマは一見ネガティブで沈み込むようなものに感じますが、心地よい歌のような感覚を味わえる小説です。
とても深刻な表現も出てくるのですが、時にゆったり、そして時に全力疾走するようなメリハリの効いた展開に、短時間でのめり込むように読み進めています。
「雰囲気を楽しむ」というのが、小説やあるいはカフェや純喫茶店のような存在にわたしが求めるもので、この小説はそういうわたしの心を満たしてくれました。
「死」がテーマではありますけれども、それにこだわらなくても読者の方に得るものがあると思います。
おススメです(^^)

★★★ Excellent!!!

 世の中の理不尽と悲しみが、家族を襲う。
 けれど、主人公は強く、優しい家族との思い出とともに記憶の川を渡る。

 哀しい話なのに、優しい気持ちになれました。
 もっと優しさに、希望に目を向けながら生きられたら。そんな風に思わせてくれました。

 できれば、最後は主人公が弟とともに幸せになれればいいなと願ってしまいました。