ネタ切れとは無縁の驚異的持久力で驀進中の秋立シリーズ、こちらの読書スピードが全く追いついておりませんが、お盆の時期に半年遅れのレビューであります。
ヒロインのおばあちゃん登場で、物語がどう転がっていくのか楽しみに読み進めました。おばあちゃんに気を遣いつつも基本マイペースな面々なので、劇的な化学反応というよりは日常のさりげない気づきにほっこりする感じですね。各々の人柄が自然に創り上げていく穏やかなストーリー。
そんな中、ヒロインが探し求めていた味の核心に迫るシーンは「うわーなるほど!」と思わず膝を打ち、最終話に至っては「うわー! え? うわー!!」の連続でした。そうなんです、どこに潜んでいるか判らない巧妙な仕掛けにすっかり呑み込まれるこの快感!
相変わらず、さすがです。
かれこれ半年以上も続いている『秋立』シリーズ。
半年以上も立たされたり座らされたたりしている道久くん。
そして半年以上どころか恐らく生まれてからずっと道久くんを振り回している穂咲ちゃん。
そしてそんな穂咲ちゃんに好んで振り回されている道久くん。
進んでいるのか、すでに到達しているのかすらもう謎のふたりの関係。
ほっこり心が和む毎日のエピソード。
おこたにはミカンが必要なように。
心を温めるには『秋立』が欲しくなります。
1冊目から読まれるのももちろんよし、本作をおためしで覗いてみるのもよし、寒い冬に温かいお話をぜひ♬
そうそう、学校シリーズですが、本作は冬休みバージョンです⛄
いったいどうやれば、見た目完璧なシチューがおしるこ味になるのか!?
それはもう魔法です。
不思議なシチューがそうさせるのか。はたまた、仕立てのせいでシチューがオカルトなのか。
今回の秋立はファンタジー仕立て。
ほんわか温かいシチューの湯気に包まれて、家族の絆を噛みしめてください。
厳しいけど、優しくてお茶目なおばあちゃん。
ちょっとうっかりさんなお母さん。
居なくてもそこに居る、お父さん。
居るのが当たり前で、最早好きか嫌いかなんてどうでもいい幼馴染み。
そしてびっくり。
道久くんの幼い頃の夢。
毎回、シチューの味が変わります。
慄きながら、ご堪能ください。
……おしるこ味は、なかったかもしれない…………