太宰治の『走れメロス』の二次創作なのですが、たとえ原作を読んでいなくても、単体で楽しめるクオリティです。
親友メロスの代わりに磔にされているセリヌンティウスのもとに、別の親友ガイウスの危篤の知らせが。
セリヌンティウスは、ガイウスのもとに駆けつけるべく、もう一人の親友ルクレティウスを身代わりに、走るのです。
しかし、セリヌンティウスの行く手には様々な事件が…。
ほら、普通に面白い(笑)
原作の文体や関係性、そして「友情」というテーマを損なうことなく、見事に創作しています。
なので、原作ファンの人は大いに楽しめると思います。ニヤリとさせられる場面もあります。
しかしもしかすると、原作のメロスの勝手さにイラっとした人にこそ、面白いのではないか、とも思います。
親友セリヌンティウスの命を質に、「別の大事なこと」のために走るメロス。
しかしここではセリヌンティウスもまた、「別の大事なこと」のためにルクレティウスの命を質にしているのですから。
男たちは、それぞれの身勝手さと、誠実さを胸に走ります。
その行く末は…。
是非、読んでみて下さい。