第1章 第28話 作戦の布石
時刻は12時半、戦いが始まってから約1時間が経過した。
初めは50人近くいた警備隊員達も、いつの間にか数を減らし半分程度になってしまっていた。
それに対し、ゴブリンはまだ4分の1程しか数を失っていない。シャルテが先程から前線で【ライトニング】でゴブリンを倒しているが、キリがない。
「⋯⋯そろそろ、始めようか」
「分かりました。テルルにも言ってきます」
ナガスがシャルテにそう言うとシャルテは前線を離れテルルの元へと走って行く。
「みんな!シャルテ君とテルル君の準備が終わるまで踏ん張るぞ!」
「「「おおぉッ!」」」
※ ※ ※ ※ ※ ※
テルルは走ってきたシャルテの顔を見て、作戦を始めることを察した。
テルルはシャルテに向かって小さく頷き、魔術を組み立ていく。
「《水の神ユートポキアよ・我の体を器に顕現せ・我に力を貸し与えよ・其は──》」
それを見てシャルテは道を外れて防衛線の前に出る。後ろには警備隊員の人達が3人付いてきている。
道を外れると高さが50センチ程ある草が生い茂っている。
シャルテはその草に隠れて、作戦の1番重要たるもの、結界魔術の結界石を設置しに行くのだ。
結界魔術。
それはその名の通り結界を発動させる魔術だ。
しかし、結界魔術を起動させるには多くの手順が必要となる。
まず最初の手順は結界石を設置する事。
これがないと結界魔術は作動しない。
結界石同士が魔術結束で結ばれるよう設置し、一つづつに一斉作動の魔術をかけなければならない。
そして何より時間だ。
結界魔術を発動させようとするととてつもなく時間がかかる。
そのため実戦などで結界魔術が使われる事は殆どない。
結界魔術は結界石を一つでも欠かすと発動出来なくなるので、相手は結界魔術を発動される前に結界石を一つでも破壊すればいいのだから。
しかし結界魔術はデメリットを覆す程の力を有している。
魔力消費量は大きいが、魔術の強大さに比べればとてつもなく少ない。
大魔術と比べても遜色ないレベルなのだ。
そして、敵はゴブリンだ。
敵には知性がなく結界石を破壊する事など出来ない。
だからナガスは結界魔術を使うのが有効だと判断したのだ。
しかし、この作戦での一番の鬼門は結界魔術を発動させることより結界石を6個全て設置することなのだ。
ゴブリンを囲むように結界魔術を発動させるには、ゴブリン達の元まで結界石を設置する必要がある。
しかもそこで魔術、例えば爆発系の魔術などを使うとゴブリンにシャルテがいる事がバレてしまい、シャルテに四方八方襲いかかる。
つまりシャルテはそこで攻撃魔術が殆ど使えないのだ。
シャルテに危険が及ぶ。しかし、シャルテはその作戦を聞いた時、
『大丈夫です。私に任せて下さい!』
と即答した。
この作戦の成功の行方はシャルテにかかっているのだ。
剣と魔法と能無しクズと 佐々木雄 @Sasakiyu14114
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。剣と魔法と能無しクズとの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます