うっかり こうのとりさん

『うっかり こうのとりさん』パンフレット

 原案:手塚治虫 「ブラックジャック 『奇胎』」より


 ――この物語はフィクションです。

 登場する団体、組織、法律、医療行為等は全て架空のものです。

 また、不妊治療を行っている方々を揶揄やゆするものではありません――。


 不妊治療に悩む若い夫婦。こう枝理えり

 かかりつけの医師より、枝理はこうのとりの卵で造られた新薬を飲む。

 そして無事妊娠し、喜ぶ二人。

 

 しかし、妊娠六ヶ月時に、突然の陣痛。

 母胎も危険だと、すぐさま出産準備する医師。

 

 そして枝理は、ヘソの緒がつながった、かさぶたのようなもので包まれた卵を産んでしまう。

 

 出産予定日まであと百日あまり。

 ”外敵”から我が子を護る為、”二羽の親鳥”の戦いが始まる。


     ※

 病院がマスコミの好奇の目にさらされる日が続く。

 そんな中、枝理の病室に動画配信者の侵入を許し、配信する者が現れる。

 ストレスで卵を割りたい衝動に襲われる枝理。

 

 そんな中、一人の少女が書いた手紙が届けられる。


『こうのとりさんがうっかりしちゃったの だからね おこらないで』 


     ※

枝理:『……鳥ってすごいわね』

功:『ん? どうしてだい?』

枝理:『だって、人間と違ってさ、子供をまもれるのは親鳥しかいないんだよ』

功:「……」

 

     ※

 ――鳥の着ぐるみを着込んで枝理の病室を訪れる功。

枝理:「……なによそれ! あたしが卵を産んだから馬鹿にしているの!」

功:「チドリって言う鳥は、卵が外敵に襲われそうになると、自ら傷ついたフリをして外敵を誘って、巣から遠ざけるんだ」

枝理「……それがどうしたっていうのよ!」


功:『僕はもう親鳥だ。だから君と子供を”外敵マスコミや動画配信者”からまもる! 命がけで!』


 門のそばでテントと言う名の”巣”を作り、自ら道化となることで外敵からの目を引きつける功。

 時には奇声を上げ翼をばたつかせながら外敵を追っ払う。

 おもしろがってカメラに収めるマスコミや動画配信者。


 枝理はそれを見て大笑いし、卵に話しかける。

枝理:「今パパね、あなたを護っているんだよ」


功:「おもしろかった?」

枝理:「おもしろかった。んで、かっこよかった」


 やがてろいろな鳥の求愛行動をまねし始める二人。

 そんな中、卵にひびが入る!


※登場人物

 ・枝理えり

  三十代女性。功の妻

卵を産んでしまったことで一時、精神的に不安定になるが、夫の功が身を挺して外敵から自分と我が子を守る姿に、母として、共に我が子を護る気持ちが芽生えてくる。


 ・こう

  三十代男性。枝理の夫。

  マスコミや野次馬、動画配信者達から妻と我が子を護る為、会社を辞め、一人親鳥となって戦うことを誓う。


 ・河野医師

七十代男性。『河野産婦人科』の院長。

枝理が入院する産婦人科の院長。

枝理の母も世話になった。

 高齢の為、近々引退を考えている。


 ・小池

五十代女性。内閣総理大臣。

功や枝理の現状に、妊婦のみならず、介護する夫への介護休暇や手当、職場保証を国会で提案する。


 原案:手塚治虫著 「ブラックジャック 『奇胎』」より

 制作国:目本

 ジャンル:ヒューマンドラマ

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