トンボたちの夏

『トンボたちの夏』パンフレット

 夏。

 白球を追いかけ、高校野球の聖地、甲子園を目指す球児達。

 その裏で、同じく甲子園を目指すグラウンド整備員の姿があった。

 

 これは、ちょこっと世界が違う、高校野球の物語。

 試合中、野球場のグラウンドを馴らすのは、試合に出場した学校のグラウンド整備員。

 ……そして、彼らグラウンド整備員”も”あこがれるのが、


『球児と共に甲子園に出場し、甲子園の土を馴らすこと』


 これは、全国3800以上ある高校野球参加校のグラウンド整備員達が

球児と共に甲子園を目指し、あこがれの地、甲子園のグラウンド整備を夢見る男達の”熱き戦い”である。


「おいギンよ! 向こうのチームの”トンボ”。ありゃ噂に聞くチタン合金製じゃねぇのか?」

「びびるんじゃねぇオニヤン! 俺たちにはよ、この汗がしみこんだひのきのトンボで、甲子園の土をらすって誓い合っただろうが!」


※登場人物

・ギンさん:六十代男性

 元高校球児で那伍三なごみ高校野球部のエースで四番だった。

 高校三年時の地区予選決勝戦で、最後の投球時にマウンドで足を滑らし、投げた玉がパスボールとなってホームスチール&サヨナラ負けしたことを今でも悔やんでいる。

 整備チームの隊長であり、担当はマウンド。


・チョウさん:六十代男性

 地区予選決勝時はキャプテン。

 ギンさんと同級生でバッテリーを組んでいた。ポジションはキャッチャーで五番。

 ギンさんの放った最後の一球がイレギュラーとなってしまい、それを捕れなかったことを悔やんでいる。

 整備チームの副長であり、担当はホームベース。

 

・オニヤン:六十代男性 

 ギンさん、チョウさんの同級生。ポジションはサードで三番。

 決勝戦9回裏にトンネルをしてしまい、同点を許してしまったことを悔やんでいる。

 担当はサードベース。


・シオジ:六十代男性

 地区予選時は二年生。ポジションはファーストで六番

 決勝戦9回表、ツーアウト満塁にヒットを放つが、一塁へ向かう途中に足を滑らせてしまい、ギリギリアウトとなってしまう。

 一点差で9回裏を迎えてしまい、ギンさん、チョウさんバッテリーに余計なプレッシャーをかけてしまったことを後悔している。

 担当はファーストベース

 

・オカラ

 地区予選時は二年生。ポジションはセカンドで一番。

 盗塁王であったが、決勝戦では全ての盗塁を失敗してしまったことを悔やんでいる。

 担当はセカンドベース

 

・アキ:四十代男性

 ギンさんの娘婿

 普段はサラリーマンで、休みの時は整備を手伝う。

 いつまでも人力でトンボを使っている皆の体を心配するが、たびたびギンさんと衝突する。

 

・アカネ:四十代女性

 ギンさんの娘。アキの妻。

 ギンさん達が早く隠居してのんびりしてほしいと願う。


・ルリ:十代男子高校生

 アキとアカネの息子。ギンさんの孫。 

 那伍美高校野球部の三年生。

 キャプテンでエース。さらに四番打者

 昨年は準々決勝まで行き、今年は甲子園有力候補と内外から言われている。

 大学やプロからも注目されている。

 ギンさん達から夢を託されており、頑固者のギンさんも、孫の彼には甘い。

 

・サナエ:六十代女性

 ギンさんの妻。アカネの母。怒ると怖い。

 かつてはみんなのマドンナだった。

 今は見る影もない。

 

・原作:宇枝一夫(ヨムカク書店刊)

・制作国:目本 

・ジャンル:スポーツ ヒューマンドラマ

 

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