主人公の玖珂駿介は失意の中、訪れた旅行先で半神になってしまいます。
神相手なので断る事も出来ず、流されるままに神様の手伝いをすることに
最初に出会ったクロノスは小型犬となって駿介の補佐をします。このクロノスがいい仕事しているんですよね……。いろんな意味で。
駿介は今までの平民としての価値観と神の価値観とのギャップに戸惑いもありつつも、行使できる力を使って趣味の世界を広げていくのです。
ちなみに半神です。神様が味方しているのです。
チートな部分がちらほらと、そんなことが出来たらいいのに!なんて思う事も。それでもやっぱり神様も苦手なものはあるのでしょうねぇ……
新たな生活を手にして変わっていく駿介の姿、徐々に周りに増えていく神様がコミカルに描かれて、たまにクスリと笑いながら楽しめるお話だと思います。
このお話は、面白い要素がたくさん絡み合っていて、一本で何度も美味しい物語です。
平凡な35歳のバツイチ男が、ひょんなことからギリシア神話の神々の力を得、時代を遡り、非業の死を遂げた歴史上の人物を救う、という、神話×歴史×ファンタジー。これだけで、十分面白いのです。神々との軽妙なやりとり、歴史上の人物についてのわかりやすく、しかし丁寧な説明。人選がとても興味深く、歴史通の人も、そうでない人も、楽しめると思います。
しかし、次第に、この物語の面白さは、結構渋いところにもある、と気付きました。
それは、物語の主人公駿介が、半神の力を得、世界規模の陰謀に関わっていくことになっても失わない、「良心」や「誠実さ」の部分です。
殺処分されていく動物を救いたいという思い、歴史上の人物と関わっていく中で抱く、「必要な犠牲なんてない」という歴史に対する信念、離婚した妻への複雑ながら、前向きな思いなど、「普通の人間」として共感できる部分の大きさに、この物語の深さを感じました。
非日常的な、日常へ。
幅広いジャンルのファンにお薦めできる作品です。
そろそろ中年の自覚のある玖珂駿介は、三十五歳、バツイチ。離婚の傷心を慰めるつもりで訪れたギリシャで、うっかりクロノス(時間を司る神)の呼びかけに応えてしまった。クロノスをタルタロスから解放することを、ゼウス神に願いに行ったところ、今度は「半神」にされてしまう。ギリシャ神話の神々が、人間の彼の力をかりて成し遂げたいこととは、いったい?
神の声が聞こえてしまったばかりに、「半神」の力を得たバツイチ中年男……というだけでは何のことか分かりませんが。これが面白いのです。自分の境遇を受け容れた(?)主人公が、時を司る神クロノスとともに着手したのは……彼の「趣味」?
絶世の美女を助けたり、神々の仲を仲裁したり。なんとも粋でカッコイイ神力の使い方に、オトナの遊び心が刺激されます。
渋いちょいワル親父や美魔女(女神ですが)、歴史や神話の教養、ワンコが好きな方にお薦めです。
半神ときいて、「もしや神になるためのお話かしら」と思って、その思い込みで読んでみたらびっくり!
時にまつわる話!?クロノス!?
物語の進み方がまたかっこいいんですよ。本当に。
驚くばかりで、もしや神になるためのお話かしらとかもうそんな段じゃありません。
とにかく、リアル世界で、RPGの主役になったような、本当に、本作の世界に引き込ませてくれるワードが盛り沢山だったのです。
これは映画化されてほしいと思った程。
ギリシャ神話にまつわるキャラクターもまた魅力的で。
ワクワクだけでなく、時折クスっと微笑んでしまうところもあります。作者様の技術力に脱帽致しました!
是非、ご一読を!
普段なら「ラノベ」のタグを見た時点で興味を失っているはずだった。が、「神話」「歴史」と大好物のタグが並び、その隣に置かれた「文芸よりのラノベ」という不思議な言葉に惹かれて読み始めてみたら……これが大当たり。面白さに、どんどん読み進めてしまった。
ごく平凡な中年男(しかもバツイチ)が歴史上のヒロイン(しかも美女)たちに惚れられたり、ギリシャの神々がダンディな不良中年や色っぽい奥様の装いで姿を現すあたりは、ラノベの典型だろう。主人公が思わず漏らす心の声(たまに絶妙なツッコミ)や、個性的なヒロイン達の思いがけない行動にニヤリとさせられることも多い。
その反面、綴られる言葉は確かに「文芸より」で浮ついた感もない。なのに、とても読みやすい。歴史上の人物や有名なギリシャの神々が、既存の概念を破って独創性あふれる人物として描かれているのは、作者さまが有する歴史や古代神話への確かな知識と尽きぬ興味の賜物だろう。ところどころに挿入されるギリシャ神話や歴史秘話が「もっと詳しく知りたい」と知的探求心を熱くさせてくれる。
次はどんな歴史上のドラマに出会えるのか。そして、主人公と神々は不気味な敵との戦いに勝利することが出来るのか……まだまだ楽しませてくれそうな作品を、ゆっくりと見守っていこう。
作中のミニチュアダックスに扮した神様・クロノスがとにかく可愛いので、「クロノスかわいいよクロノス」と言い逃げしてレビューの代わりにしようかと思ったのですが、そうも行かないのでもう少しだけ。
そろそろ中年にさしかかる駿介はバツイチの普通の人間。しかしなぜかギリシア神話の神様の声をきっかけに半神となり、神様たちから面倒くさいこと(だが世界の存亡にかかわるような重大なこと等)を頼まれます。同時に、半神の力とクロノスの能力を生かし、夢だったペット牧場経営と、悲劇の死を遂げた歴史上の人物を時空を超えて救うという「趣味的」事業に乗り出すのです。
連れてくる歴史上の人物、彼等にエピソードも興味深いのですが、私が特に好きなのは神さま達の造型と、駿介のぼやきやツッコミの独白(しみじみと可笑しい)、そしてクロノス。クロノス可愛いよクロノス。
ということで、まだ物語の途中ですがレビューさせていただきました。続きを読むのが楽しみです。
人の身でありながら神の声が聞こえてしまったばっかりに、何だか大きな出来事へと巻き込まれてしまった主人公。
それはそれとして、時の神の力を借りてやってみたかったこと――、悲劇の美女を救い連れてくるという趣味も開始して。
目指すはハーレムかと思いきや。
この主人公律儀です。想いや考えを尊重し、自分で決めさせ、救った弱味で手籠めにしようとは一切考えない。
そして、だからこそ彼が救う時、そこにはドラマがあってしっかりと心を揺さぶってくるのです。
色々な時代、色々な考えを持つ人や神が居て。そのどれもが決して蔑ろにできないという姿勢が感じられる。
大きな出来事である神々の事情の方も、そうした作者の丁寧な造りが感じられ、大きな戦いを前に行われるやり取りや会話全てにハッとさせられます。
細やかに創られたちょっと変わった現代の庶民半神英雄譚。
軽いタッチでありながら心に響く物語をどうか楽しんで行ってください。
おすすめです!
離婚成立後の気ままな一人旅の最中に、ひょんなことから神の力を授けられてしまった駿介。
ミニチュアダックスの姿になった時間の神クロノスをお供にして、ゼウスを手助けするべく準備を始める——
クロノスの力で時間を遡り、悲劇に見舞われ命を落とした美女たちを救って現代に連れてくるのですが、何だかだんだんハーレムになりつつあるのは気のせいではないよね……?
ドタバタしつつもどこかユルい駿介の半人半神生活は、これからも賑やかさを増していきそう。
ジ◯ーラモ顔負けのチョイ悪オヤジなゼウス様が素敵です。
果たして、ギガースの復活を阻止できるのか? 今後に注目です。