主人公の隼人は憧れの警察学校を受験するも、家に届いた合格通知に書かれていたのは、何やら特殊な訓練校へのご案内。
なんだこれ?と思いながらも、折角の合格だと、すんなり受け入れる。そして、ここからが大変だった。
当たり前の様に、それは隼人の思い描いていた普通の警察学校では無い。人それぞれ持つ特性、属性と呼ばれる不思議な力を薙刀や杖、短刀などの武器に付属させての戦闘を学ぶ特殊な訓練校だった。
そしてその刃先が振り下ろされるのは、飛び跳ねる案山子や雪だるま。可愛らしげなバンビ達や、恐々しい骸。
そんな生活の中で、とある出来事をきっかけに、隼人はこの異質な世界に微かな疑惑を抱く。
物語前半は、そんな隼人を含む一年生達の、戸惑いながらも成長していく楽しげな学園生活と、あちらこちらに散りばめられる伏線。
そして現在、物語は中盤に差し掛かり…………さて、どうなっていくのーーーーっ、と楽しみで仕方ありません。
どうぞ、皆様も物語に入り込んで下さいませ。
どこか日本の幕末を思わせる異色異世界ファンタジー。
謎に満ちたプロローグは惹き付けられます。
折り返し地点に来ても尚、
謎の全貌が見えない事にスケールの大きさを感じます。
多くの布石をばら撒きながらの進行は読者の手を止めさせない効果があり、
読み出すと先が気になって仕方がありません。
物語の進行自体は緩やかで、その丁寧な構成に共感致しました。
ゲーム要素やテンプレ要素のない骨太ハイファンタジーなので、
ぜひ多くのファンタジーファンに読んでいただきたい作品です。
現在二五話で、文字数的に見ると丁度中盤。
構成力・独自性・今後の展開等を踏まえて星三つ押したいと思います。
旧国名が飛び交う地理に、薙刀や槍が活躍する戦闘。
天帝が居て、守護が置かれ、でも議会があって警察学校が存在する。
純和風の伝奇系ファンタジーを思わせる小道具が多数登場しながらも、技術や設定は異世界ならではの独自性にあふれています。
ネオジャポネスクとでも呼べばいいんでしょうか、この世界観は好きな人にはたまらない魅力ではないでしょうか。
警察学校への新入生を主人公に据え、多感な青春群像を描く切り口は作者さんの持ち味が充分に生かされており、こちらはストレートな正統派。
意味深なプロローグから始まり、裏でうごめくアレやコレが、主人公たちを翻弄します。
国中を駆け回り、彼らが最後につかんだ真実とは一体――?
中世ヨーロッパ風じゃないハイファンタジーが読みたいという方にこそ、是非一読をオススメします!