第10話 二人で花火大会

 八月七日(花火の日)花火大会当日、十七時半、まだ空は明るい。


「三十分前に着いた、予定通り」


 清水は花火大会会場の近くの待ち合わせのコンビニに到着した。今日は待ちに待ちすぎたつぐみさんとの花火大会デートなのだ。


 待ち合わせ時間は十八時、花火開始は十九時なのだが、それまで色々屋台を周ろうということで一時間前に設定したのだ。


 早くつぐみさん来ないかな~と思ってるその時、後ろから


「清水さん」


 振り向くとそこには浴衣姿のつぐみさんが立っていた。


「こんにちは……つぐみさん」

「こんにちは」


 浴衣姿のつぐみさんに思わず見とれてしまう。淡いピンクの浴衣で金髪ツインテールとよく似合う。つぐみさんはオドオドしている。


「浴衣……変ですか?」

「そんなことないです! 金髪ツインテールと似合って可愛いです!」

「よかった……」


 安心したのかつぐみさんから笑みがこぼれる。相変わらずつぐみさんの笑顔は最高だ。


「それにしてもつぐみさん早いですね、まだ三十分前ですよ」

「清水さんだって早いじゃないですか、まだ三十分前ですよ」

「ぷぷぷっ」


 おもわず笑う二人。お互い息はぴったりかもしれない。


「つぐみさんは今日はどうやって来たんですか?」

「お母さんに車で送ってきてもらいました」

「なるほど」


「じゃあ行きましょうか」

「はい!」


 そして花火大会会場へ、流石大規模花火大会だけあって人ごみがすごい。


「わーあすっごい人……」

「見ろ! 人がごみのようだ」

「なに言ってるんですか清水さん」

「すみません……」

「バルス!」

「ぐわああああああああ目があああああああああ」


 意外にラピュタネタに乗ってくれるつぐみさん。


「つぐみさんなんか食べたいのありますか? 奢りますよ?」

「え! 奢ってくれるんですか! じゃあチョコバナナ!」

「了解です」


 二人で並んで屋台でチョコバナナを買う清水。ついでにチョコクレープを自分のために買う。


「じゃあいただきます♪ うーん♪ おいしい♪」


 チョコバナナを食べるつぐみさんなんかエロイ、フ●ラしてるみたいだ、チョコバナナも一個●つければチ●コバナナだしやばくね? とか思う清水。


「おいしそうですね」

「清水さんも食べますか?」


 そう言われチ●コバナナを渡される清水。一口かぶりつく。


「うん! おいしい!」

「おいしいですよね~じゃあ清水さんのクレープも一口ください」


 そう言ってクレープをパクッとかじるつぐみさん。これ間接キスじゃねええか! と今頃気付く清水。


「クレープおいし~♪」

「……」


 その後もたこやきやらから揚げやらわたがしやら色々食べる二人。清水の財布に結構なダメージ。満足そうなつぐみさん。


 そして時刻十八時五十分、花火開始十分前あたりはもう真っ暗。


「そろそろ観覧席いきましょうか?」

「そうですね」


 受付でチケットを見せ観覧席に入場。ブルーシートが敷いておりどこか適当なとこに座ってくれと言うスタンスだ。二人は人が少ないところに座る。


「今日はありがとうございます! しかも奢ってもらってばかりで」

「こちらこそありがとうございます! 男としては奢りたくなるもんなんですよ」

「そうなんですか?」


「まもなく第三十三回花火大会を開催します」


 そんなかんやでアナウンスが鳴り花火開始。花の形やサッカーボールの形など様々な花火が幻想的に打ち上げられる。


「きれい……」

「きれいですね」


 君のほうがきれいだよとか言いたい清水。でもキザっぽくきもいと思うので言うのをやめる。そんな中疲れからか清水から欠伸あくびがでる。


「清水さん、眠いんですか?」

「ちょっと眠いです、おかしいですね昨日十四時間もねたんですけどねハハハ」

「十四時間! 赤ちゃんみたいですね」


 クスクス笑うつぐみさん、浴衣姿の笑顔もサイコーだぜと思う清水。


「赤ちゃんさん少し寝ますか? こっち顔倒していいですよ」


 そう言って膝を出すつぐみさん。膝枕していいとのことだ。めちゃくちゃうれしいと同時に恥ずかしい。


「膝失礼します……」

「どうぞ……」


 恥ずかしながらもつぐみさんの膝に顔を乗せる清水。


「どうですか?」

「うれしいです……」

「よかったね赤ちゃん!」


 そう言ってつぐみさんが清水の頭を撫でる。さっきから赤ちゃんと言われ続けてることもありすごく恥ずかしい。


「頭撫でられるの恥ずかしいです……」

「嫌ですか?」

「嫌じゃないですけど……」

「けど? なんですか?」

「理性が飛びそうです……」

「飛んでもいいですよ♪」


 その一言に清水の理性は爆発した。


「つぐみさん!!!!」


 思いっきりつぐみさんの胸に抱きついた。


「つぐみさんもう我慢できないです……」

「やっぱり赤ちゃんみたいですね、可愛い、しばらく抱きついていていいですよ♪」


 また頭を撫でるつぐみさん。清水はもう幸せだ。


 花火大会そっちのけでこの後もずっとつぐみさんの胸の中にいた清水。


「第三十三回花火大会終了いたしました。お帰りの際は足元気をつけてお帰りくださいませ」


「花火終わりましたよ、清水さん、帰りましょう」

「ずっとこうしてたいです……」

「甘えん坊ですね、やっぱり今日は赤ちゃんですね、帰りますよ」

「はい……」


 こうして会場をあとにする二人。つぐみさんの母が車で待っているコンビニまで歩く。


「今日は誘っていただいてありがとうございました、楽しかったですよ、赤ちゃんみたいな清水さんカワイかったですよ」

「こちらこそありがとうございます、赤ちゃんはやめてください……」


「フフ、ところで清水さん?」

「はい? なんでしょう?」













「私のこと好きなんですか?」



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金髪ツインテールとアルバイト 長下慶 @tikuwa5672

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