一話の中に、色んな人物の大切な思いがぎゅっとつめられた物語です。人を、そしてそれの抱える内なる感情を知らなかったミヤマ。自分の中に踏み込んでくる彼を時には拒みながらも、徐々に溶け合っていく少女。その二人の姿がとても暖かく、だからこそ切なく映りました。
そして、少女の身をまるで母のように案じるジョロウグモの言葉が、妖しくも強く響いてきて素敵でした。
“自分の命を抱えるだけで精一杯の子に、他人の命まで背負わせるつもりなのか”――
終わりある命、その中で見る一時の夢。けれどその夢の中に、確かに息づく何かがある。