Liar to Dream
卯月 優
夢と現実
いつからこんな感じになってしまったのだろう。
おおきくなったら――になりたい!
なりたい自分を、なりたいものを、なりたい夢を持っていたあの頃。
俺は、あの頃そう考えていた俺は、なりたい自分になって、なりたいものになって、なりたい夢を叶えて、後悔がない、そんな夢物語のような自分の人生を送れているのだろうとずっと考えていた。
でも現実は違った。
いつからか、大してそう長生きしたいとも思わなくなったし、できれば今すぐにでも終わらせて欲しいと思うほど生きることにも、なにするのにも無気力になった。
どうせ、何をしたってできない、何をしたって失敗する。そうなれば嫌な思いをするのは自分だ。
何をしたってどうせ、失敗して後悔するくらいなら何もしない方がマシだ。
そう考えるようになった。
頑張る奴が応援される、素直な奴が得をする。
そんなのはただの綺麗事だ。
現実は、頑張っても認めてもらえなければ“頑張った”ことなんかにはならない。自分がもう無理だというくらい頑張ったとしたって、それを他者から全否定されてしまえば、頑張っていないことになってしまう。他人のものさしの基準で全てが決まってしまう。
人間皆平等ではない。感覚もそのものさしも価値観も育った環境も、似ている人はいても全く同じという人はいない。
きっと、相手のものさしで“頑張った”と認められる前に壊れてしまう人間もいるはずだ。
ただ、素直でいても上手く利用されて自分ばかりが損をしてしまうことだってある。
実際は、ただ素直な人が得をするのではなく、狡い人の方が上手くいってたりする。
本当に不平等極まりない世界だ。
いつも考える。
人によっては失礼かもしれないがそれを承知で思う、眠ったまま目が醒めなければどんなに幸せなことか。
いつも変わらない同じ朝を迎えて目が醒める。
その時には必ず、ああ、またダメだった。と思う。
自分自身もう、いつからこんな無気力になってしまったのか、何がきっかけだったのか、なんて覚えていない。
ずっと、ぐるぐると黒く深く渦巻くような状況から抜け出せていない。
そうしてまた気が付けば朝を迎える。
――ああ、またダメだった。
そう思ってまた目を醒ます。
今日もきっとなんともない1日がまた始まるんだろう。
Liar to Dream 卯月 優 @SuG39
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