「音殺し」の少年は、少女と同じ夢を見るか――?

 CRSという、ピアノのアレンジを競い合い、チェスの駒の称号を賭けて争う新感覚ピアノバトル。主人公はかつて「音殺し(サウンド・キル)」と呼ばれた天才アレンジピアニスト。しかし、突然の引退。ニート候補となる。そんな少年の元に、「クイーン」の称号を持つ女性から、ある贈り物が届く。それは、箱詰めされた美少女だった。少女もまた、天才的な才能を持つ、ピアニストだった。
 少女は主人公をパパと慕い、主人公も少女の父親兼師として、ピアノの世界に戻ることとなる。少女は幼いながらも、時折大人びたセリフで周囲を驚かせる。
 主人公はあるトラウマを抱えていた。高校生の時、学園祭でバンドを組むことになった主人公は、そのバンド演奏直後に、母親が入院していた病院が火災に見舞われたことを知る。主人公は間に合うのか? 

 そして、何故主人公は突然CRSを辞退したのか?
 少女と共に、主人公が再びCRSで演奏する時は来るのだろうか?

 様々なピアノ曲やピアノの楽器名、作曲家たちが刻んだ歴史など、豊富な知識が散りばめられていて、思わず唸る。

 音楽好きな方は、是非ご一読下さい。

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