イソラ

作者 藤井機斎

70

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★★★ Excellent!!!

個人的な私見だが深海という舞台は国家や組織の謀略が衝突する場所として適切だと思う。
地上や空中とは違い人目につかず、放り出されば絶対の死の世界は敗れたものに生を許さない。

第三者がいないはずの深き深海で行われし、本来は誰かにみせるはずの浄瑠璃をモチーフとした人型兵器の戦いをもってくるアイロニー、構成が上手い。

ですが、この戦いですら本作の前座にすぎません。

その後に起こす行動こそ作品の本質、テーマです。
詳しくはネタバレになるので書きませんがこの行動は誰かに強制されたものではありません。
本作は人形浄瑠璃をモチーフとした作品だが、行動を起こした者たちは誰かの操り人形かと言えば否である。
自らの意思で国に恋した殉教者として行動としたのでしょう。

深海の死闘、行われる謀略戦、それらに関わる人物を重厚な筆致で描写される本作。

読めば貴方は知られざる舞台の目撃者となり、『決して忘れぬだろう』と思います。

★★★ Excellent!!!

「イソラ」という作品は、重厚感と緊張感の中にある作品であると考える。

巨軀のヒトガタが静かな浅瀬を、深海を行く。その重厚感は、Web小説に於いて珍しい難解な漢字や表現により効果的に現れている。そして、それらは「イソラ」の世界観を表した上で、読者である我々に緊張感をも与えるのである。しかし、そのような感覚を受けた上でも、読者は難解な表現に煩わしさを覚えず、この物語の世界に飲まれていくだろう、と考えた。

この感覚を覚える理由には、舞台を構成する登場人物や組織の魅力もあるだろう。安曇野や大義達イソラ遣いを始めとする登場人物はそれぞれ、どこか熱いものを秘めているよう感じられ、また櫻冑會は舞台の背景に何か大きい物を感じさせ、謎をも撒く。今後の展開に目が離せなくなることは間違いが無いだろう。

浄瑠璃×リアルロボによる伝奇。重く、迫力あるアクションに緊張感のある展開。複数の要素を見事に纏め上げた「イソラ」という作品を、貴方もぜひ一度、お読みになってはいかがだろうか。

Good!

 多くの魅力的なロボットSF作品を送り出してきた筆者が、満を持して放つ異色作。今までにない文化と文明とが混じり合い、あたかもそれ自体が本来そうであったかのように感じる…二つのアイディアのマリアージュというものが、この物語の魅力でしょうか。また、あえて難解な常用外の漢字を使い、説明セリフ等も最小限に抑える。徹底して作り込まれた作品の雰囲気は、読むほどに世界観へと読者を引きずり込んでいきます。これは凄い!

★★★ Excellent!!!

これがロボット小説なのか、と疑いたくなるほどの文章力に圧巻の一言。一行一行がこれほど日本的に美しく、そして熱く猛るのかと驚いた作品でした。

本作は老人と青年と、そしてイソラという水陸両用人形兵器が軸になった物語。PMCとして、そして国に憂いた『国士』として血湧き肉躍る戦いが繰り広げられるミリタリーロボット小説です。

個人的に特に面白いと思ったのが、イソラという兵器としての特異性。未知の動力で動く全長七メートル余りの巨大兵器でありながら、手に持つ武装はたった一振りの刀。その性能は奇抜かつ未知の領域ではあるものの、現代兵器と真正面から対峙した場合そこまで優位性を保つことはできないというのが面白い。

故に、運用は暗黒ともいえる海中からの隠密作戦となり、その様は正に忍者のごとく。プログラムでは再現できない人間の感触に至るまでの動きをトレースしたイソラは、漆黒の闇の中雷雨に打たれながらも素早く駆け抜け、時には深海という無明の中でさえもその刀を精妙に振り抜き、そして敵を誅する姿はとてもシビレます。

全体的に憂国の士を書きながらも、決して所謂『右』という単純な思想の帰結に留まらず、現在の日本の現状を捉えながらも合理的に描かれた世界観は好きな人にとってはもうたまらない作品です。

謎も深まり、そして能を見ているかのような描写はもう私のこころを掴んで離さないものでした。素晴らしい!続きを楽しみにしています!

★★★ Excellent!!!

ただひたすらにこの世界観に酔いしれ、引き込まれる。
とてつもない浄瑠璃、演じるのは老獪か青年か、はたまたもの言わぬ巨人たちか。
したたかに舞うが如く繰り出される濃密な文体、妖しく見せてくれる戦闘シーン、そして渦巻く陰謀、複雑に絡み合う要素が何一つ崩れる事なく、『イソラ』を演じてくれています。

なんでも良いけど僕は渋いおじいちゃんが大好きです。

★★★ Excellent!!!

謎のオーバーテクノロジーたるロボット『イソラ』をめぐる陰謀、そして乗り手たちの生き様と思い、思惑がこの作品をより熱く、重厚なものに仕上げています。
もちろんロボ物とある通り、その戦いぶりも見事な手腕で描かれており、手汗握る攻防を楽しむこともできるのはひとえに作者様の強い愛情、情熱がこの作品に注がれているからではないでしょうか。

老骨の安曇野氏を含め、どのキャラクターにも譲れない信念や生き様が丹精込めて書かれており、単なるロボ物とは一線を介していると感じます。
人間ドラマ、国家陰謀もの、そして肝となる人間浄瑠璃の組み合わせをぜひ、堪能してみてほしい一作です。

★★★ Excellent!!!

 読んだらきっと貴方に刺さる格好いい軍事SFです。
 キャラが美しい、メカが美しい、戦の一つ一つが美しい。
 元から作者の藤井機斎様は重厚な文章を書く方でしたが、今回はそこに読みやすさへの工夫が加わることで、あっという間に引き込まれる物々しい美文が生まれています。
 その中で舞う“和”のテイストに溢れたキャラ、メカ、思想、戦争、いずれもため息が出るほど美しい。
 その美しさで描くのが軍事SFですよ。
 やばいです。ややもすれば重苦しく泥臭い感覚さえ有るミリタリが、作者様の魔法で幽玄な世界へと変貌する。
 ゾクゾクとしながら一気に読んでしまいました。

★★★ Excellent!!!

まるで濃厚な歴史小説を読んでいるような感覚に陥りますね……それ程に、このイソラは古き良き『和』の要素を感じる。
まずイソラと呼ぶ、古代兵器を現代の技術で蘇られたとされるロボット群。装甲車を相手に戦う姿は、まるで武者のそれ。舞うように、幻惑するように装甲車を相手にする。そんな様子がこの文から読み取れますね。

また作中の至る所に、いわゆる藤井イズム的な作風が感じられる。泥臭さ、伝奇、世界の暗さ(闇の中でネオンが光るようなそんな感じ)などなど、そういったのが好きな方には、実にもってこいですね。

これはまさに、文学的ロボ小説とも言える作品です!

★★★ Excellent!!!

 一気読みしました。
 イソラと呼ばれる4機の異形の人型兵器。浄瑠璃人形に模された操縦系や、忍びの者と呼びたくなるほどの隠密行動に賭ける気迫が、古風な文体で迫ります。
 たったひと振りの刀だけで、近代兵器相手に舞うが如くに戦う雷雨のシーンは、圧倒的な迫力と緊張感があります。
 読みましょう。きっと、この研ぎ澄まされた剣舞の世界に圧倒されるでしょう。

★★★ Excellent!!!

吉川英治の宮本武蔵、司馬遼太郎の燃えよ剣。程昔ではなく、00年代の最近の時代小説を読んでるような文体。
伝統芸能を題材にしてるだけあって作風がどこか厳か。
でてくるロボットも戦術的運用なくしてはまとまに使えない泥臭い機体。
だがそれがいい!
渋く重厚な文は、ビフテキの後にステーキをデザートにするかのよう。
刺さる人には刺さる珠玉の1品

Good!

ウェブ小説といえば、軽めの文章が好まれますが、この物語はやや重い。
読みづらいと思いきや、そうではありません。難しい表現がちらほら見られますが、握る程度で読むぶんにはスラスラ入って来ます。
ライトなノベルから、ちょっと重い感じのものを読みたいなぁという方にオススメです。

★★★ Excellent!!!

<18.6/25追記>
語弊を恐れずに言うのなら、読者は彼らを理解できなくても良い。国に恋する、国を護る、国を生かす――彼らが掲げ、全てを費やしても良いとさえ考えているような、その理想をだ。
本作を読了した今、このイソラという物語を、敢えてそういった思想の物語であるとは括りたくない。そう括ってしまえば、途端にイソラという物語は陳腐と化して、鮮烈に輝き散った男たちの段が霞んでしまうだろうから。
恐らく、物語としての本質は、一つの夢と理想と憤りに身を投じた男たちの有り様そのもの。そう思えるほどに、発掘兵器イソラに重なる彼らの有り様が美しい。

常人では殉ずる事の出来ない理念を、それに己の全てを持ち込む行いを狂気と呼ぶのだとしたら、安曇野正義率いる一団は現代に沈む狂気とでも言い表せば良いのだろうか。安曇野警備保障の有り様は、かくも美しくイソラと重なる。

透明な論理とある種の狂気が支配する段に及んで、イソラという物語は、白刃のような輝きを真に発揮し始める。危うく、そして美しく輝き出すのだ。
そしては、それは自らを偶像としての座に追いやる行為でもあると、先生は理解していたのではないか。最終段が殉教者たちの物語であるのなら、やはり、その終着点は偶像たる安曇野正義が採った”かの行い”でしか有り得なかったのかも知れない。

彼らの決起がもたらしたものは何なのか、その答えを掴む為にも是非読んで貰いたい一作だ。

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伝統芸能に歴史観、そしてロボットモノ。
これらの要素を空中分解させることなく仕上がっている作品、それがイソラです!
つまるところ闇鍋です、今回も非常に濃ゆい闇鍋作品です。

巧みな文章表現により描き出される戦闘は、第二話目にていきなり夜間基地強襲というシチュエーションから始まりま… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

本作は結末をあえて書かないことで余韻を残す作品であると思う。

安曇野と大義、主役級の二人は共に己の信念に生き抜いた。しかし護国、日本という国を憂い、行動した結果については全く表現しない事で余韻を現している。もしくは我々読者の個人個人の心の中で浮かんだものこそがイソラの舞台で描かれた彼らの行動の結果なのかもしれない。


真面目な感想はこの辺で止めておいて、やっぱいいよね。特殊環境下における戦闘! 本編のクライマックスに入る前、ある意味転換期におけるイソラvsセイレーン! 深海で音もなく、同じ遺物から生まれた違うコンセプトのマシーン同士がぶつかり合う!

深海を魚雷が、そして日本刀が切り裂いていく描写は重厚な文体と相なって手に汗握る名場面と呼ぶにふさわしいかと!

何から何まで人を選ぶことは確定的だが、それ故に読み進められるのであれば間違いなく心に残る名作になると断言できる作品です。