続く終わり

 何が起きたか分からなかった。


 だからこそ本を読むことにした。何か分かるかもしれない。読み始めてすぐこの本の内容が僕の最近の言動などと驚くべきほど同じなことに気が付いた。


 最後のほうに女性が消えていく様子が彼女のそれと重なった。あれ、同じだ。このあとに男が本を読むところまで僕と同じ。


 本の内容と僕に起こることが一緒ならば、このあとの内容はこれから僕に起こることだ。


 恐る恐る続きに目を通した。


 男がもう一度女性に会いたくて、本屋に行く。男は無事に女性に会える。


 これなら僕ももう一度会えるかもしれない。会いたい。どうしても。まだこの時間なら本屋は開いている。


 すぐに僕は家を飛び出した。まだ読みかけの本を残し。


 走っても走っても着かない。こんなに遠かっただろうか。走って走ってやっと着いた。


 彼女が消えた場所に真っ直ぐ向かう。彼女はいない。渦が出た本を探すが見つからない。ひたすら本を開いては違うと投げ新たな本を開く。それでも見つからないと半ば諦めていたとき、後ろから声をかけられた。


「また会えたね、少年」


 はっきりと聞こえたその声のほうを向き、僕はその声の主のほうに向かっていった。


 あぁ、やっぱり会えた。

 

 あの本は彼女の住んでいる世界。

 彼女は人間だけどこの世界の人ではなかったのだ。

 彼女は本を飛びだして僕と出会った。

 僕と出会うべくして出会ったのだ。

 

 そして僕は何度も何度もこの物語を体験するだろう。そしてこの物語は多くの人に読まれることになるだろう。

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本中物語 福蘭縁寿 @kaname54

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