前提:立候補、合格、出世、忙殺
私が信用されるように振る舞っていたおかげで、無事に衆議院議員・亞倍心蔵として議員を務めることができるようになった。
そこからはとにかく実績を作っていった。
3年後、当時67%の支持率を誇っていた与党・
断っておくが、私は能力で証拠を偽造したわけではない。
二度目の衆議院選挙の前、ぶっかけうどん問題のときに私をアシストした野党第一党・
当然、前首相の悪事を暴いた正義の味方というポジションと野党第一党というポジションが掛け合わさり、私はその選挙区での得票数一位での当選となった。
当然、民衆党は大きく票を落とし、野党第一党どころか第三党になってしまった。
「えー、次期総裁は亞倍心蔵氏です」
守民一番党のトップである古泉氏の任期満了に伴い総裁選が行われた。
ここでも私は無事勝利を収めた。
6日後の臨時国会にて私はついに内閣総理大臣に指名された。
ついに私は目標の第一段階である内閣総理大臣に到達したのだった。
私の計画も順調だ。
…そう思っていた。
「なんだ………これは…………」
私の意識はまた別の世界に跳びかけていた。
いくらなんでも仕事が多すぎる。
太平洋を隔てた大国・米国の大統領は来日するわ、世界一の人口を誇る社会主義の大国・通国の国家主席と電話会談させられるわ、さらには既に独裁体制を敷いている正式な国名との矛盾も甚だしい国・北総鮮国から日本海にミサイルを飛ばす予告をされるわ、てんやわんやの大忙しである。ちなみに日本は北総鮮国を国として認めていないし、私も認めるつもりはない。国民から顰蹙を買うからだ。
さて、独裁体制を敷くにはどうしても国民の協力……とまでは言わずとも、国民を味方につける必要がある。
そこで私は仕事の合間に考えた。国民を味方につける方法をだ。
結果、一つの解答を私は出した。
「亞倍総理!北総鮮国がミサイルを飛ばすと予告していますが!」
マスコミの一人が声を上げる。
「えー、我々政府としてもまことに遺憾であり…」
そんな感じのお役所言葉を言うが、こんな言葉、既に国民は聞き飽きている。
だから、インパクトを与える。
「さらに厳しい経済制裁などなどを、米国や通国、完国とも協力して異次元の圧力をかけてまいります」
会場にざわめきが走った。
「我々のミサイルは、あらゆる自然災害にも屈すること無く何があろうと極めて的確に敵を木端微塵に打ち砕くものである!」
北総鮮国のトップ・
その様子を総鮮中心テレビが報じる。
その電波を、なぜか国民から税金のように金を搾り取るNBA(Nippon Broadcast Association)が受信して放送する。
国民から搾り取っているだけあって放送内容はきちんとしている。
私の部屋のテレビはその様子を放映している。
「自然災害…ねぇ」
私は呟く。
会見では「などなど」なんて言ったが、この「などなど」と含みをもたせたのには理由がある。
私の能力だ。
能力を使用してミサイル発射を阻止して、さらに経済制裁を強めていけば北総鮮国は弱体化していくはずだ。そうすれば自ずと支持率も上昇するであろう。
しかし、さて、能力をつかってどうするかが問題である。
能力は人を動かすよりは死体を動かすほうが得意なものだ。
つまり、心にまでは干渉できない。
そこで私が考えたのが自然災害である。
そのうち私が良いと思ったのは…
「よし、これにするか。決行は三日後にすれば間に合うかな」
私のパソコンには、オンラインWiki百科事典の「太陽フレア」のページが表示されていた。
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