セイゾンシャ

 そのモニターには広間に設置された監視カメラの映像が映り込んでいた。

音声はどこから拾っているのだろうか。ノイズのない音声は広間にいた時と同じように聞こえてくる。

「彼、また何かに気付いたね」

「今までは自分の推理が当たって舞い上がっていただけだ。今更気付くことなぞ経験者ならとっくに見抜いて指摘できている」

「だからこそ、だよ。彼は本当にすごい。なんだから」

「お前の見込みでは京山も既プレイヤーなんだろう?なら京山は気付いているはずだな。何故指摘しないでいる?」

「彼はその事実を伏せたままで勝つつもりなんだろうね。もしくは我那覇君が噛まれる事を期待しているか。我那覇君が狼の可能性を警戒しているつもりかもしれない」「それこそ致命的な判断ミスだ。我那覇が狼なら次に噛まれるのは京山だけだ」

「そこはホラ。今頃相方に伝授してるのかも」

「その相方は教えられただけで使いこなせる頭はないが」

「ひっどいこというなあ」

「真舟は村置きできる、か。さて。ここで気付いた事を活かせるか?」

「彼が本物なら、既にあのことに感づき始めてもいい頃だけど」

「お前は本当に捻くれてるな。そのレアケ脳でよく勝ち残ったよ」

「そうかい?王道はみんな見てくれるよ。それに僕は狐勝ちのときレアケだったし」

「最低でも100人は下らないな」

「なにが?」

「犠牲者だ。お前と俺で」

「え、80人くらい殺してるのかい?どん引きだ」

「70人くらいはお前で計算してる」

いやいや、といって口が止まる。

周りの視線が自分を責めている事に気付いたからだった。

「今日勝てば、丁度100人だ」

にこやかな表情だった。

あまりにも爽やかなその表情が場と発言にあまりにも不釣り合いで、

「まさかお前がそんな詐欺師だとは思わなかった」

霧島が生気のない瞳を相手に向けた。

「やだなぁ。これも勝つ為だよ」

ケラケラと笑って。

酒々井はケラケラと。

笑っていた。

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汝、人狼なりや? ソラ @sorakudo

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