やり直すオークショニア

作者 岩沢まめのき

55

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★★★ Excellent!!!

オークショニアというちょっと特殊なお仕事に就く主人公が、七年前の過去に戻されるところからストーリーが始まります。

何度も繰り返してしまう日々から脱却すべく、主人公の大沼はどうしたらここから抜け出せるのか、何が必要なのか、また何が足りなかったのかを探りながら過去の自分と向き合い、その原因が『三人の後輩との関係にあるのでは?』と考え、彼らとの交流を図り、ヒントを見出していくのですが――この不条理な状況に対して苦悩しつつも、徐々に後輩の気持ちを第一に考えるようになっていく、大沼の優しい変化に心が温まります。

またオークショニアについても緻密ながらにとてもわかりやすく描写されており、全くの素人の私でも楽しく興味深く読めてしまいました。

まだ第一部のみの完結ですが、爽やかな読後感を味わうと共に、更に続きが知りたくて読みたくて堪らなくなっています。

お仕事の面白さだけでなく、人との繋がりの大切さ、そしてゆっくり育まれていく絆の温かさに触れ、優しい気持ちになれる、素敵な作品です。

★★★ Excellent!!!

ある日突然7年前の自分に戻ってしまう。目の前にいるのはとても営業に向いてないように見える緊張した後輩。彼に与えられた「ミッション」とは――

後輩三人の本音を聞き出し、希望を叶えること。それを実現するために何度も何度も繰り返さなければならなかった大沼を見ればわかるように、それは本当に難しいことだ。

だけど、ほんの少し優しくなることで世界は変わる。肝心なのは、その優しさを持つこと、それをためらわず表すことだ。

そんな当たり前のことを当たり前に表現することに成功している良作だ。

★★★ Excellent!!!

 第一部を読み終えての感想です。
 主人公大沼のオークショニアという仕事に対するプロフェッショナルな描写と、そこに関わる新入社員三人。異世界もので定番となっている正解を探すループものを、現代の、大人のフィールドで展開していくのですが、課長や取引先などのキャラクターも含めて描写が非常に丁寧で、スッと流れ込んでいきます。

 そして主人公は、大人だからこその選択肢に翻弄されつつも、一歩ずつ正解を見つけていくその姿は、人としての善き生き方を見失いがちな社会人に、ヒントを与えてくれるものなのではないかと思いました。この先も楽しみです。

★★★ Excellent!!!

ざっくり言うなら「現代舞台の時間ループもの」になるのかな。内容がすんなり入ってくる、テンポのいい作品。読みながらついつい主人公にツッコミを入れてしまうのは私だけじゃないはず! 七年前、新入社員、変わり始めた過去……これらが最後どう繋がるのか、楽しみなところです。七年前に戻った理由も明らかになるはず
さぁ、皆さん、オークショニアという職業に惹かれて読むのです!

★★ Very Good!!

本作は小気味良いテンポ(まるでオークションのそれに似ている)で話が進んでいく。
お仕事系ミステリーにラブコメ的な要素がプラスされているという印象。

言葉の選び方が良いのか、内容がすんなりと頭に入ってきて映像として理解しやすいのがとても良い。
なにより、オークショニアという仕事について語られるところが楽しい。自分の知らない職業という事もあるが、こういう世界があるのかと興味をそそられるのも、作品をもっと読み進めようと思う要因の一つだろう。

しかし、まだ過去に戻った事についての真相は不明のまま(第4章終了時点)なので、ここからのミステリー的アプローチに期待。
オークショニアに気を取られて、ミステリーという点での大事なポイントや伏線を見逃している可能性があるのではと感じるので、すでに読んだ方ももう一度読み返してみては如何だろうか?

★★★ Excellent!!!

ループもの初体験でした。

オークションを取り仕切る競売人=オークショニアが主人公の作品ですが、その臨場感あふれるオークションニアの仕事っぷりを垣間見ると思いきや、突然、オークションの最中に過去に戻ってしまいます。

さりげなくはじまる時間のループ、手探りで主人公が選択肢を一つ一つ試していく描写に引き込まれていき、ついにループから脱したときの達成感!

それはきっと競り勝ってお目当ての商品を落札したときの高揚感と一致するのではと思います。

鍵となるのは三人の後輩たち。
仕事に恋愛、そしてオークションの魅力をループという仕組みで料理した『やり直すオークショニア』

是非、お読みいただきループの楽しさと切なさを味わっていただきたいと思います。

★★★ Excellent!!!

「なぜ、こんなにも私の心を掴むのだろう」

 そう考えながら、いつも、私はこの作品を読み進めていた。
 一旦読み始めると、どんどん先が読みたくて止まらなくなる。
(何故なんだ、何故、読みたいんだろう)

 この作品には、オークショニアという、聞きなれない職業が登場する。仕事の内容は、やはり、知らないことが多く、新鮮だ。

 しかし、そこで働く人達は、私達と何ら変わらない、悩んだり、努力して継続したりという日々を送っている。

 そんな、彼らが愛しくてたまらない。主人公が過去へ戻って彼らを愛するように、私は、私自身の過去を振り返って、かつて愛することができなかった人達を『愛しなおす』追体験をしているのではないだろうか、という思いに突き当たった。

 人を愛することは難しいと、勘違いしていたのかもしれない。

 むしろ、

 人を愛することは楽しいことなんだ。

と、改めて教えてもらったのかも知れません。

 もちろん、そう感情移入できたのは、岩澤豆樹さんの、描写力、洞察力によるものです。

 魅力的な人物描写にチャレンジしたい、そう思わせる作品でもありました。

★★★ Excellent!!!

 岩澤豆樹さんは、「姉の厨二病喫茶がつぶれそう」で、第二回カクヨムWEBコンのラブコメ界隈において一世を風靡された方です。
 その丁寧なんだけどどこかイカれてる感じの文体といいい、話の美しさといい、稀有な作家だなという認識を持っておりました。

 それが今回満を持して、ノベゼロ参戦という訳で。
 いったいどんなものを書くのかと、期待して読んだ次第ですね。

 いつものエキセントリックなギャグが飛び出してくるかなと思いきや――なにこれお仕事コンの応募原稿!? というくらいの、濃密なオークション描写に度肝を抜かれました。

 何度も何度も、七年前の、新人研修の場へとループする主人公。
 オークショニアとしての栄光を掴み取る途中の彼は、どうにかしてそのループを終わらせて、本来の自分の居場所に戻りつきたいと思います。

 しかし、そこにヒロインの市柳さんが絡んできて――どうやら彼女が、このループの鍵ではないかと睨むのだが。

 というんが、今のところのお話。

 この先どういう話が展開されていくのか、非常に楽しみな作品です。
 上質なミステリに飢えている、大人な諸兄は、是非およみになられてはいかがでしょうか。きっと、後悔させない作品ですよ。おすすめです。