※解説は間違っている可能性があります。あらかじめ、ご了承ください。


※「ー」は前の文字の母音(例:カーブ→カアブ)として扱っています。




●敬遠(=故意四球)(IB・IBB/Intentional Base on Balls・Intentional Walk)

 意図的にボール球を投げ、フォアボールでバッターを出塁させる事。「故意四球」の方が正式な呼び方。



 敬遠でキャッチャーが立つ時は、キャッチャーの両足はキャッチャーズボックス内に置かれている必要がある。

(実際には、プロ野球などでは守られていない)


 ピッチャーの手からボールが離れたら、キャッチャーズボックスを出てもいい。その前に出ると「ボーク」になる。


※ボークになると、全てのランナーが1つずつ進塁。



 キャッチャーを立たせずにボール球を投げるパターンもある。厳密には敬遠には含まれないので、こちらは「敬遠気味のフォアボール」と表現されたりする。


 メジャーリーグでは2017年に「申告敬遠(投げない敬遠)」が導入された。監督が審判に敬遠の意思を示すだけで敬遠になる。

(指を4本立てたり、一塁を指差せば意図が通じる)


※プロ野球でも2018年から導入された。申告敬遠についてはコチラ(↓)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884198528/episodes/1177354054884198620



「最初は敬遠するつもりはなかったけど、ストライクが入らないから歩かせよう」という敬遠(あるいは敬遠気味のフォアボール)もある。


 これは「ストライクを取りに行って打たれるよりマシ」という判断である。ストライクが欲しい時、ボールはストライクゾーンの真ん中付近に行きやすくなる。


※端っこを狙うより、真ん中を狙った方がストライクになりやすい。そして、真ん中付近は打たれやすい。


 基本的には「次のバッターの方がアウトにしやすい」「一塁にランナーがいた方が守りやすい」などの理由で敬遠する。



「一塁にランナーがいた方が守りやすい」とは「ゲッツー(=ダブルプレー)を取りやすい」という事。


 例えば、1アウトでランナーが二塁にいるとする。


 ここでバッターがショートゴロを打てば、二塁ランナーが走塁ミスをしない限り、アウトは1つだけ。しかし、1アウトでランナーが一塁・二塁だったなら、ショートゴロで「6-4-3」のゲッツーになる。これで3アウトになる。


※1:ピッチャー/2:キャッチャー/3:ファースト/4:セカンド/5:サード/6:ショート/7:レフト/8:センター/9:ライト



 王貞治(世界のホームラン王)やバリー・ボンズ(メジャーリーグで最多ホームラン)は敬遠も多かった。それぞれ日本記録と世界記録保持者で、2位以下を大きく引き離している。


 ボンズは、1シーズンで120敬遠(この1年だけで日本なら歴代10位くらい)という異常な数字を記録した事がある。また、満塁で敬遠された事もあった。満塁ホームランなら4失点だが、敬遠で押し出しなら1失点で済むからである。


 長嶋茂雄は「バットを持っていないのに敬遠された」という伝説を持っている。

(「敬遠しないで勝負しろ!」というメッセージだったが敬遠された)



●警告試合

 乱闘に繋がりそうな行為があったり実際に乱闘が起きた時、審判が警告を発する事がある。警告が行われた試合を「警告試合」と言う。

(両チームに対して警告が行われる)


 警告は「何か危ない事をしたら退場させるから覚えとけよ」みたいな意味。サッカー風に言うと、両チームの全員にイエローカードを出す感じ。


 たまに、警告試合にする程じゃなくても警告試合になる。退場させる程じゃなくても退場になる。


 警告も退場も審判次第であり、審判によって多い・少ないがある。

(審判でもカッとなりやすい人もいるし……)



●計算出来る

 ピッチャー(基本的には先発ピッチャー)が勝ちを期待出来る状態の事。また、そのようなピッチャーの事。「勝ちが計算出来る」とも「勝ちを計算出来る」とも言うが、どちらも意味は同じ。


 勝ちが負けを大きく上回るピッチャーなら、勝ちを計算出来るピッチャー。毎年15勝5敗くらいなら文句なしに計算出来る。


 勝ちと負けが同じくらいだと、計算出来るとは言い難い。投げてみないと分からない。負けの方がかなり多いようだと……先発ピッチャーで使うのは難しい。



●継送

 主に、ダブルプレーの時に使われる言葉。「転送」とも。


「6-4-3」のダブルプレーになった時、最初にボールを捕ったのはショートである。そのボールが、セカンドとファーストにも渡った事になる。


 この例では、セカンドからファーストにボールが「転送」されている。

(「一塁転送」や「ファースト転送」と言う)


 この転送プレーは「ピボットプレー」とも呼ばれ、転送を担当する野手(この例ではセカンド)は「ピボットマン」と呼ばれる。



●軽打

 軽く当てるだけのバッティングの事。または、そのようにして打たれた打球の事。

「遠くに飛ばす事」よりも「当てる事」を重視したバッティング(の結果)である。



●継投

 ピッチャーを交代する事。交代せずに投げさせる事は「続投」と言う。



●ゲーム

 試合の事。



●ゲーム差(GB/Games Behind)

 同リーグや同地区のチームの「勝ち越し数(貯金)の半分」を比べて、順位が上のチームと下のチームとの差を表すもの。


「1ゲーム差」「2.0ゲーム差」「ゲーム差3.5」のような言い方をする。

(声に出す際は「.0」を省略する事が多いかも)


 1位と2位のゲーム差が2.0であれば、2位のチームが「直接対決で2試合(2ゲーム)勝てば」ゲーム差がなくなる。


※ただし、何勝何敗何引き分けかによって勝率が変わるため、ゲーム差0でも順位が違う事はある。


「1位と比べた時のゲーム差」が使われる場合と「1つ上の順位と比べた時のゲーム差」が使われる場合がある。


 詳しくはコチラ(↓)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884198528/episodes/1177354054885746180



●ゲーム(試合)を作る

 先発ピッチャーが、大きな失点をせずに長いイニングを投げる事。クオリティースタート(=3失点以内で6イニング以上投げる事)が出来れば御の字。


 序盤に大量失点してしまうと「ゲームを作れない」や「ゲームを壊す」と言われる。



●ケガ人リスト(IL/Injured List)

 故障者を登録したリストの事。メジャーリーグの制度の1つ。「故障者リスト」と言う事が多い。


※2018年までは「Disabled List(DL)」と言っていたが、「Disabled」には「障害のある」という意味もあるようで、新たに「Injured(ケガをした)」を使うようになった。名称変更の要請もあったらしい。


 選手本人が「俺は故障者だ~!」と言っても、医師が「君はケガをしてないよ」と判断したら、その選手を故障者リストに入れる事は出来ない。


 大ざっぱな説明をすると「故障者リストに入った選手の分だけ選手の補充が出来る制度」である。


 当たり前と言えば当たり前の制度だが、このような制度があるのは、メジャー昇格やマイナー降格などの制度が複雑になっているのが主な要因。

(プロ野球ほど簡単には昇格・降格させられない)



 故障者リストには「10日間の故障者リスト」と「60日間の故障者リスト」がある。脳震盪の場合は特別に「7日間の故障者リスト」に入れる事が可能。


 また、故障者リストとは少し違うが、出産に立ち会うための「父親リスト」なども存在する。

(アメリカでは、夫が出産に立ち会うのが当たり前らしい。日本でも、そうなりつつあるけど)


 10日間の故障者リストに入った選手は、10日間はメジャーリーグの試合に出られず、計算の上では25人枠から外れる。


※2020年からはピッチャーの故障者リスト入り期間が最低15日間に延長される。また、25人枠は26人枠に拡大される。詳しくはコチラ(↓)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884198528/episodes/1177354054889477422


 60日間の故障者リストに入った選手は、60日間はメジャーリーグの試合に出られず、計算の上では40人枠から外れる。


 いずれも、リハビリや調整のためにマイナーの試合に出場出来る。計算上は25人枠もしくは40人枠から外れるので、外れた人数の分だけ補充が可能になる。


※25人枠や40人枠については、下記URLの「ロースター」の部分で解説。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884198528/episodes/1177354054884389707


 故障者は、試合には出られないが、ベンチにいるのは大丈夫。チームに帯同しながら、メジャーのトレーナーにマッサージしてもらって体を治す事も多い。

(復帰出来そうになれば、マイナーで実戦感覚を取り戻してからメジャーに復帰するのが普通)


 故障者リスト入りした選手が多いチームは、故障者の代わりで昇格した選手が多くなるため、ベンチにいる人間も多くなりがち。



●血行障害

 血管の詰まりや収縮などで血行(血流)が悪くなってしまう状態。血行が悪くなると、血によって届けられる栄養が行き渡らなくなったり、冷えや痛みや痺れが出る。


 血行を改善する薬で治療する事もあるが、手術をする場合もある。かなり酷い場合には指の切断手術が必要になる事も。


 野球選手では、ボールを投げる機会が多いピッチャーに利き手の血行障害が起きやすい。キャッチャーはボールを捕る機会が多いので、ミットをはめる手に起きやすいと言われる。



●決勝点

「5対4」の試合なら「5点目」が決勝点。「9対3」の試合なら「4点目」が決勝点になる。


 何点目が決勝点となるかは、試合が終わらないと分からない。決勝点となった打点の事は「決勝打点」と言う。



●ゲッツー(=ダブルプレー)

 2つのアウトを取る一連のプレーの事。


「ゲッツー(get two)」は「アウトを2つ取る」という意味の和製英語。

「ダブルプレー」や「併殺」とも言う。


 ダブルプレーになる打撃をする事は「併殺打」と言う。



 ノーアウトでランナーが一塁の時、バッターがショートゴロを打ったとする。


 ショートからセカンドにボールが送られて、一塁ランナーがアウトになる。これで1アウト。


 セカンドがファーストに送球してバッターもアウトにすれば、2アウトになる。


 これが「6ー4ー3(ろくよんさん)」のダブルプレーで、守備側は一気に2つのアウトをゲットした事になる。


※1:ピッチャー/2:キャッチャー/3:ファースト/4:セカンド/5:サード/6:ショート/7:レフト/8:センター/9:ライト



 ダブルプレーには「フォースダブルプレー」と「リバースフォースダブルプレー」の2つがある。


 上記の例は「フォースダブルプレー」の方。最初に、フォース状態にある(=進塁義務がある)ランナーがアウトになるダブルプレーである。


※一塁ランナーは、バッターランナーのために一塁を空けなくはならない。これが進塁義務がある状態。

※打撃をして走り出したバッターの事を「バッターランナー」と言う。



「リバースフォースダブルプレー」は、最初にランナー(バッターランナーを含む)の誰かがアウトになった後、進塁義務がないランナーをアウトにするダブルプレー。


 ノーアウトでランナーが一塁の時、バッターがファーストゴロを打ったとする。


 ファーストが一塁を踏めば、バッターランナーがアウト。これで1アウト。

(バッターランナーがアウトになったので、一塁ランナーの進塁義務がなくなった)


 一塁ランナーをタッチアウトにすれば、リバースフォースダブルプレーになる。



 基本的には、いちいち「フォースダブルプレー」とか「リバースフォースダブルプレー」とか言わず、ただ「ダブルプレー」とか「ゲッツー」とか言う。


 ダブルプレーになりやすい所(セカンド・ショートの正面とか)に打球が飛ぶと、実況の人は「ダブルプレーコース」や「ゲッツーコース」と言う事が多い。


 ダブルプレー(2つのアウト)が欲しい時にダブルプレーになると「注文通りのダブルプレー」や「注文通りのゲッツー」と言ったりする。



●ゲッツー崩れ

 ダブルプレーが成立しそうな場面でダブルプレーが成立しない事。「ダブルプレー崩れ」や「併殺崩れ」とも言う。


「塁上のランナーはアウトになったが、バッターランナーはアウトにならなかった」というケースが多い。



●ゲッツーシフト

 二塁経由のダブルプレーを取りやすくするために、セカンドとショートが二塁寄りに立つ守備の事。


「ダブルプレーシフト」とも言う。「併殺シフト」とはあまり言わない気がする。


「二塁経由のダブルプレー」とは「野手→二塁→一塁」とボールが渡るダブルプレーの事である。



 ダブルプレーの多くは、以下の4つのいずれかに該当する。

(いずれも二塁経由のダブルプレー)


・4ー6ー3:セカンドが打球を捕る→ショート(二塁)に送球される→ファーストに送球される


・6ー4ー3:ショートが打球を捕る→セカンド(二塁)に送球される→ファーストに送球される


・4ー4ー3:セカンドが打球を捕る→セカンドが二塁を踏む→ファーストに送球される


・6ー6ー3:ショートが打球を捕る→ショートが二塁を踏む→ファーストに送球される



 ダブルプレーシフトは、セカンド・ショートが二塁寄りに守る事で「4ー6」「6ー4」「4ー4」「6ー6」の部分をスムーズに出来る。


 この部分で時間がかかると、その間にバッターランナーは一塁に近付くので、ダブルプレー崩れになりやすくなる。



●決定力

 点を取る打力の事。ホームランを打てたりランナーがいる時にヒットを打てたりすると「決定力がある」と言われる。


「得点圏打率」「ホームラン」「打点」などの数字がいい選手やチームには決定力がある。



●ケンカ投法

 インコースに積極的に投げ込む強気のピッチングの事。狙いより内側に外れるとデッドボールで出塁させる危険性があり、外側に外れるとストライクゾーンの真ん中付近に行ってしまう。


 ケンカ投法にはデッドボール(や乱闘)や長打のリスクもあるが、上手くインコースを攻められればバッターにとっては脅威となる。特にインコース高めはバッターに最も近い所であり、窮屈なスイングになりやすいので簡単には打たれない。


 インコースを意識させておいてアウトコースで仕留める事も出来る。インコースにせよアウトコースにせよ、そこに投げ込むコントロールが重要。



●牽制(牽制球)(pickoff)

「ランナーに大きなリードを取らせないようにする」「ランナーをアウトにする」などの目的でボールを投げる事。また、そのようなボールの事。牽制するのは主にピッチャーだが、投球直後にキャッチャーが牽制する事もある。


「ピッチャーズプレートを踏んでいるピッチャー」が牽制球を投げる際には、投げる塁の方向に「軸足じゃない足(=利き腕側じゃない足)」を踏み出す必要がある。


 例えば、左ピッチャーが一塁に牽制する時は「バッターに投げるようなフォームで右足を上げてから一塁方向に踏み出して牽制する」という事も出来る。

(左ピッチャーがセットポジションになると、体の正面は一塁に向く)


 ただし、踏み出す方向が正しくないとボークとなり、各ランナーは1つずつ進塁。


 なお、ピッチャーの牽制は「塁への送球」に限定されるので、塁間(=塁と塁の間の部分)に投げた場合もボークになる。塁間にいる野手の方がランナーにタッチしやすかったとしても、塁(の近く)にいる野手に投げないといけない。


※プレートから足を外せばピッチャーも野手扱いになるので、塁間にも送球出来るようになる。自分でランナーを追いかけてタッチする事も出来る。


 プロ野球に移籍した外国人投手は、牽制球でボークを取られるケースが多い。「足を踏み出す方向について、どの程度の範囲までならOKなのか」がメジャーリーグと違ったりするからである。


 プレートから足を外して牽制すれば諸々の問題は解決されるが、ランナーに牽制を気付かれやすくなる。ランナーの裏をかかないと、牽制でアウトにするのは難しい。


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