気になるあの子の本当の顔が知りたい

第4話(途中から美食家視点)

朝になった。


パティシエ「あ〜あ、おはよう。」


あくびをしながらの挨拶に魔法使いは疑問の顔だ。よく見ればくまがある。


魔法使い「よくあんた眠れたよね、本当。」


パティシエ「先生が寝てない時間帯は起きていたけど。」


魔法使い「そうじゃなくって。女の子と二人きりでベッドにいたのよ。男の子ならこう……なんかあるじゃない。」


俺の不思議そうにする顔に魔法使いは呆れ気味だ。


パティシエ「お互いそういうこと思ってないんだから、思ってもしかたないよ。」


魔法使い「そうだけど……。てか、私は反対だから。あんたがここにいるの。」


魔王「反対する人多いね。やっぱり。」


魔法使い「そらそうだよ。今だって即刻追い出したいくらい。」


魔王「昨日、カキプーに聞いたけど……。仲介者が必要なんだって。」


「「仲介者?」」


魔王「仲介者って言うのは私とあなたを繋ぐ魔族のこと。カキプーは二人いないから無理でしょ。だから、お願い。二つスイーツを作って。ドーナツだと私が食べちゃうかもしれないから他ので。」


良かった。こんなのが毎日続いたら、めんどくさいが増えまくる。


パティシエ「待ってて。じゅげむじゅげむ……ペケ☆ポン」


長い呪文を唱えてモンブランとショートケーキを出す。


魔王「ちょっと待っててね。」


魔王は呪文を唱え、お菓子が動き出す。


魔法使い「おおー。動いた。」


ショートケーキ「そんなん当たり前や。見くびってもらったらこ・ま・る。」


魔法使い「え?喋れるの?」


モンブラン「私も喋れます。」


魔法使い「喋る魔道具を作るなんてスゴいね。」


魔王「これでいいよ。私はモンブランの方にしていい?」 


あ、先に取られた。絶対ショートケーキは取りたくなかったのに。まぁ、これが続くよりはましか。


ショートケーキ「なんや、いやそぉーな顔して。わしを選んだんや。ラッキーやであんた。」


いや、全然マシじゃなかった。めんどくさすぎる。


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帰ってきた俺は男子に色々聞かれた。何もなかったから何もなかったと答えたけど、あまり信じてはもらえそうになかった。


あと、ショートケーキはというと……。


ショートケーキ「何驚いた顔してんる?ショートケーキやけど喋ったらアカンことないやろ。」


みんなを引かせていた。最初は隠そうと思ったのだが、教室から出てトイレに行くとき困るので知ってもらう必要があった。


本当に何でこいつと一緒にいなきゃいけないだろう。この先の不安がつのった一日だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


授業終わりの休み時間になった。誰も俺が女子寮で眠ったなんて知らない。知ってるのは同じ部屋の美食家と魔法使いと魔王だけだ。美食家が色々隠すための手回しをしてくれたらしい。本当にいい友達を持った。話しをしていれば本人登場だ。


美食家「おーい、みんなでさZ組の鎧騎士見に行こうってなったんだけど行かねぇ?」


パティシエ「面白そう。行こうっか。」


俺は即刻行くを決める。前々から気になっていたんだ。


美食家「その鎧騎士がさぁ〜、合成音声で喋るんだよ。それに全身鎧。めちゃめちゃ気にならねぇ?」


パティシエ「確かに気になるね。」


美食家「それでさ、本人の声を聞こうとみんな驚かそうとしてんだよ。」


パティシエ「驚いたときは合成音声じゃなくなるの?」


美食家「そうじゃなくって。喋るときはいつもワンテンポおいてから喋るから、驚いた時は普段の声になるかもってことだよ。」


パティシエ「そっか。驚かしに行くんだね。」


美食家「そー言うこと。それで誰か驚かせれるか勝負しようって話。」


パティシエ「一緒にやるよ。」


美食家「そ~言うと思ってた。お前は面白そうなものは色々参加したがるからな。」


パティシエ「いいじゃん。」


そうして男子たちの驚かしバトルが始まった。


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まず一人目が失敗した。今のが男子たちのエースだったらしい。十人いたのが半分の五人になってしまった。


厄介だな。机を急にひっくり返すしても反応なしか。今回の相手はどうやら手強いようだ。


美食家「次は俺が行く。」


その他「頑張れ〜〜。」


さっきとは明らかに声の大きさが違う。みんな諦めてるようだった。


読んでいる教科書を浮かしたり、鳥が窓を割って入ってきたりしたが成功はしなかった。


友達がげんなりして帰ってくる。


パティシエ「残念だったね。」


美食家「あ〜あ、色々やったのに。堅物かよ。」


パティシエ「じゃ、俺に任せて。せこい手使っていい?俺の必殺技があるんだけど。」


美食家「おけ、もうなんでもいいよ。驚くんなら。」


パティシエ「準備するね。パンツー生クリームーペケ☆ポン」


鎧騎士「ひゃぁぁーー!!」


クラスの中に大きな悲鳴が鳴り響く。諦めていた人たちも一斉に見に来た。しかも、女子の声。もしかして……。


声の主は鎧騎士、本人であった。男子だと思ってたのに。


俺が呪文を唱えていたのを見たのか、どんどん俺に近づいてくる。


顔の鎧を脱いで激しい怒りの顔を見せる。かわいい。金髪にぱちくりした目。一瞬で魅力された。


鎧騎士「あなたね。私を驚かしたの。どーしたらなおるの、これ?」


パティシエ「ええーと。直せないかな。」


美食家「おいおい、何の話をしてるんだ?」


鎧騎士「言いたくないの。あんたは黙ってて。」


厳しいお怒りの声に美食家は再び調子を落とす。


鎧騎士「直せないってどーゆうこと。あなたがやったことよね。」


パティシエ「変えの……」


鎧騎士「言わないで!!それ以上言ったらぶっ倒す。」


パティシエ「ええ??どーしたらいいのさ。」


鎧騎士「こっち来て。」


そして俺は誰もいないところに連れられた。


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壁ドンされる。


鎧騎士「静かに聞いてね。私のパンツ濡らしたのあなたでしょう。」


パティシエ「ごめん。生クリームまみれにした。」


鎧騎士「これ生クリームだったのね。まぁいいわ。あなたがこんなことやったんだから責任取ってくれるよね。」


パティシエ「責任って?」


鎧騎士「女子の友達にもパンツ無くしたから取りに行ってきてって言えないわ。私もこれから大事な用事があるの。」


パティシエ「もしかして……。」


鎧騎士「あなた取りに行って。この休み時間の間に。」


パティシエ「マジですか、あと二十分したないよ……。」


最近、色々なことに巻き込まれる。神様は俺を陥れるつもりなのか。


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俺は別れたあと友達をおいてトイレにこもる。


パティシエ「どーするよ。ショートケーキ。」


ショートケーキ「お前がまいた種や、仕方ないやろな。女子寮に行ってあの鎧騎士のパンツ取ってくるしか。」


パティシエ「そーだよな。手伝ってくれる?」


ショートケーキ「しゃーないな。ワイの魔法でパンツ回収の手助けたるわ。」


二人?で侵入経路を確認しあい、女子寮に向かっていった。鎧騎士のパンツを取るミッション、必ず達成してみせる。

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パティシエでも魔王討伐できますか? 小麦猫 @atumori

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