第3話(主人公視点)
魔王さんは緊張の自己紹介を終え、指定された席に座る。俺の隣か。めんどくさいな。
休み時間、転校生の魔王さんはクラスで人気になった。桃色の髪に、整った容姿でさらに魔王。注目されるのは当たり前で他のクラスの奴らも来ていた。
その他「さっきの何ー?レッドカーペットで登場したじゃん。あれって本物?」
その他「教室の隅にいるのっていわゆる爺やだよね?絶対ぃーそうだよね?」
魔王「そうだよーー。何で知ってるの。」
質問攻めに合い、転校生は戸惑っていた。
美食家「おーい、Dはあの中入んないの?」
パティシエ「いいよ。めんどくさいし。カロリーが消費されるだけだよ。」
美食家「お前はそういうとこあるよな。美少女でもブレないのはすげーよ。」
会話している間に向こうでは好きな食べ物の話題になっていた。
魔法使い「好きな食べ物かー。私はホットケーキかな。」
魔法使い「Sちゃんの好きな食べ物はー?」
魔王「私はドーナツ。ドーナツが大スキなの〜〜。」
魔法使い「そ~なんだ。意外ー。」
魔王「よかったらドーナツ売っている場所教えてくれないかな?何処にあるかわかんなくって。」
魔法使い「いいよ。教えてあげる。今度買い物に行こうー。てか、今すぐにでも食べれるよー。」
魔王「どうやってぇ!?教えて。」
魔王の目の輝きが変わり、すぐ横に座る。
魔法使い「食いつきスゴ!ほんとに好きなんだね。隣にいるDって奴がいるでしょ。」
魔王「うんうん。」
魔法使い「そいつは材料が分かったら、どんなスイーツでも作れるの。スゴいでしょ。」
魔王「スゴっ!!私にも作ってもらえるかなぁ?」
魔法使い「大丈夫よ。今の聞いてたでしょう?Dー。いつも見たいにパンケーキ作る容量で作ってよ。」
ちっ、今日もかよ。昨日は六枚も作ったじゃないか。
魔法使い「嫌だなんて言わさないわよ。」
脅しが入る。めんどくさいのに。
パティシエ「わかったよ。で、好きなの何?」
魔王「イー○トドーナツお願い。」
パティシエ「わかった。待ってて。」
準備にかかっている間、近くで見られ緊張する。
パティシエ「じゅげむじゅげむ……ペケ☆ポン」
目の前にドーナツが現れる。
魔王「おおぉぉー!!スゴい。」
パティシエ「特製で作ったケーキだけど、おいしい?」
魔王「美味しい。こんなに美味しいドーナツ初めて。」
素直に褒めてくれ、顔が緩む。
魔王「ありがとー。手を貸してぇー。」
差し出された手に俺も乗る。何だろう。
魔王「これでいいよ。今日からよろしくねぇ。」
パティシエ「よろしく?…よろしくね。」
その他「ねぇねぇ、何で今手ぇつないだの?」
俺が疑問に思ったことをよく聞いてくれた。ナイス。
魔王「えぇ?今のは従属契約しただけだよ?」
「「「今なんて?」」」
魔王「従属契約だよ。主従の関係ってこと。知らないの?」
俺はまだ頭がついていってなかった。
パティシエ「なおるの、これぇ?」
魔王「なおし方ぁ?わかんないよ。言われたことなかったし。」
パティシエ「え?なんか紋章みたいなの出てきたんだけど……。」
魔法使い「はははっ、従属だってぇー。Dが従属だってぇー。」
パティシエ「他人事だと思ってぇー!。」
その後、先生にもなおるかどうか確認した。結果は無理。なんてこった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
夜になっても手にガッツリ書いてある、紋章?がなくならず困っていた。
魔王「Dくん、いる?」
元凶が男子の寮に入ってきた。
パティシエ「なおる方法分かった?」
魔王「いいから。お願い。」
パティシエ「え?え?」
俺は女子寮に連れられていく。
俺が連れられるのを見て、男子の間で俺がどうなるかの会議があったのらしい。内容は知らないが。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
パティシエ「どこにいくの?早く手を離して。」
手を振り払おうとするが握る力が強すぎて取れやしなかった。かっこ悪い。
魔法使い「やっと帰ってきた。勝手にどっか行くなよ。心配した……って何でD連れてんの?」
パティシエ「こっちが教えてほしいくらいだよ。」
魔王「あなたと繋がってないとムズムズするの。部屋までついてきて。」
魔法使い「何よ何よ、いつの間にあんたらそんなに仲良くなったのよ。」
俺も知らない。何が起きたんだ?
魔王「さっき従属契約したでしょ。繋がってないといけないの。魔力で繋がるのは普通、少ない魔力で拒否できるんだけどぉ……。あなたって人でしょ。それに、総魔力少ないし。近くにいないとダメなの。だからさ、今日一緒に寝よ。」
「「マジで?」」
魔法使い「それってやばいじゃん。毎日一緒にいなきゃいけないってことじゃん。どうすんの、D?」
じゃ、仕方ないな。考えるのもめんどくさいし。部屋に入るか。
魔法使い「ちょいまち、ちょいまち。あんた何で女の聖域に入ろうとしてんのよ。止めなさいって。」
俺は不思議そうな顔をする。入っていいって言ってるんだぞ。
パティシエ「何で?本人がいいって言ってるんだし。もう眠たいし。」
魔法使い「あんたの無神経さ、逆に清々しいわ。見回りとかどーすんのよ。先生が怒るでしょ。」
あ、先生がいたか。どーしよ。向こうもやべぇじゃん。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
男子にも説明して、俺の部屋では枕で誤魔化すことになった。途中、どうなるかと思った。
魔法使い「布団から出てこないでね。恥ずかしいから。」
パティシエ「暑苦しいから出ていい?」
魔法使い「ここでよく言えるね、それ。冗談じゃなかったら怒るから。」
また脅しが入る。めんどくさいな。冗談にしておこう。
パティシエ「冗談だよ。」
「ガラガラ」と扉がひろがる。
魔王「二人とも布団に入ってどうしたの?まだ寝なきゃいけない時間じゃないけどぉ。」
魔法使い「緊急事態よ。女子の部屋に男子が入ってんの。」
魔王「仕方ないじゃん。楽しもうよ。私、新しい友達と初めて寝れるんだからぁ。」
魔法使い「それでも私が耐えきれないんですけどーー!!」
まぁ、寝顔も見られるかも知れないのだから怒るのも当然だろう。ていうか、ベッドがもうないけど魔王さんと俺は一緒寝るのだろうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
電気を消し、二人で一緒に入ることになった。さすがの俺もこの状況にドキドキしていた。
「ガラガラ」と先生が入ってくる。妙に膨らんでいる俺らの布団が気になるのは必然。どうするよ。出来るだけわからないよう体をくっつける。
寮の女の先生「どーしたの、そこ?」
魔王「ゴホ、ゴホ。先生ぇ、すいません。風邪で体が膨らんでぇ。」
寮の女の先生「そいうものなの?何か隠してるよね?」
一瞬、先生も本当かと思ったのだがすぐ冷静になる。覗き込もうとするが……。
魔王「先生ぇ、あまり人に見られたくないので……。」
寮の女の先生「あら、そうなの?すいませんね。」
どうなってるか気になっただけか、よかった。すぐに先生は出ていった。
魔王「ごめんね、迷惑かけてぇ。」
パティシエ「いいよ、いいよ。ドキドキするし、楽しいから。」
魔王「でもぉ、胸に当たってる手はどいてね。ちょっとこしょばいかな。」
パティシエ「あ、ごめん。」
俺の手が当たってたことに気づき、心臓が最高潮に高まる。
二人はここから一切喋らなかった。いや、喋れなかった。今日は先生もあまり入ってこなかったのだが、俺は今夜あまり眠れる気分じゃなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます