忘れ人学園

　辛い記憶や忘れてしまいたい記憶、思い出したくもない過去の出来事。
　すべての記憶をもし綺麗さっぱり忘れることができるなら……。
　そんなことを思ったことはないだろうか。
　誰もが一度は思う願いをかなえたのが、忘れ人という職業だ。

　だが他人の記憶を請け負ってやろうと言う人間は変わり者が多く、
　日々、学内では多くの問題が発生していた。
　そんな中に、一樹と言う一人の少年がいた。
　一樹は唯という目の見えない少女の付き人として、
　忘れ人を目指す以外の理由で、学園で生活を送るという稀有な存在だった。
　表向きは……。
　一樹は、過去にある罪を犯していて、その事実をずっと背負って生きていた。
　心のどこかで、ずっと罪から許されたいと願っていた。
　そして、そんな一樹の迷いを見透かしたように、…続きを読む