第9話 繋がる
遠くへと飛んで行ってしまったカラス。
彼もしっかり喋っていた。前世の記憶があったのだろう。
僕たちは少しはカラスの爪に引っかかれたけれど、大丈夫。みんなあまりケガもなくってよかったよ。安心したら、ジュールとランカーはあたりに散ったカラスの羽を、ちゃっかりと集めている。
「ありがとう、ハル。おかげで助かった」
「その上、こんなに、貴重な黒魔の羽根を手に入れる事が出来て、そちらの白き毛皮の方も、ありがとうございます」
「あら、良いのよ、これくらい。私のことはタマって呼んで頂戴」
「あ、はい。タマさん。僕はランカーといいます」
タマさんとランカーがピカっとして、二人は顔を見合わせ、ふんわり笑った。
「まあ、これが繋がるっていうものなのね。案外いいわあ」
「ありがとうございます、タマさん。時々遊びに来てくださいね」
タマさんのテリトリーにある穴は、ここから少し離れた森の中に通じてて、そこはジュールたちに聞くと、「魔の森」って言われてるくらい、ヤベーやつがいっぱいいるんだって。だから小さい人は住んでなくて、タマさんは初めてランカーと繋がったんだよ!
うー、にゃん。すばらしい一日だねえ。
それからジュールたちにお礼の魚を分けてもらって、しばらく遊んでから帰ることにした。
途中の草原で、10センチもある、立派なカマキリを見つけたんだ!
よし、これが今日のお土産だ!
ねえ、知ってる?獲物はね、手で押さえつけて動きを止めてから、頭の方をそっと咥えたら、バタバタ抵抗しなくて、持って帰りやすいんだよ。
タマさんは、これまた大きなバッタを捕まえた。
ふふ。緑でお揃いだ。
今日も楽しかったね。じゃあね。バイバーイ!
「みゃ、みゃ」
ママ―、帰ったよー。
今日こそは、絶対お土産、逃がさないぞ。
ふふふ。獲れたてのカマキリは口の中。
「みゃ、みゃうん」
トントントン。あ、ママの足音だ!
ーーーーーー
あとがき
ここまで読んでくださってありがとうございます。
日帰りファンタジーに登録するのはここまでです。
にゃあ
時々お土産大事件が起こるので、その時はまた、お知らせしますね。
副題に「ハルのお土産日記」って付けようかな。
ふふふ。
ありがとうございました。
猫なら行ける異世界 安佐ゆう @you345
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