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かつて僕は、彼女が善人であるのに甘えて、約束を違える罪悪感を、放棄しようとしたことがある。
許してくれるだろうと、気にしないでいてくれるだろうと、僕は実際思ったのだ。だが、よく考えてみれば僕は、彼女以外の人間に対して、同じ期待をしたことがないのだ。そう、だから僕は、気づいていなかったのだ。
『友人だ、親友だ』と、彼女が言ってくれるその言葉さえ、比べる物の無い僕には、価値が分からず、自分には理解してくれる人間がいないのだと、何度もひとりで嘆いていた。
だがそれは、間違っていたのだ。僕の意識の片隅に、常に彼女は存在し、やさしい言葉をかけてくれたが、僕はそれを、僕と同じような偽善だと言い聞かせ、片付けていた。その方が、自分を憐れむのに都合が良かったから。
けれど歳を重ね、そういう青臭い部分を、勲章のように誇っていた時期が過ぎ、僕はいよいよ、『かわいそうな自分』と、決別しようとしている。
ただ、そこにあるものを見ることが出来ないのは、きっとどこまでいっても、自分のせいなのだ。
知っているふりをしなければ、生き残れなかった頃をこえて、今生きている僕は、これから、本当に欲しい知識や経験に、手を伸ばすことができるだろうか。その勇気が欲しい。
愛する友へ
あなたがいてくれて、本当に僕は救われている。これまでそれを認められなくて、どうにもそれが、恥ずかしい。
親友への手紙 ミーシャ @rus
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