第6話 エピローグ

 ……翌々年の夏。

 国立大学生、村雲奈菜花は、リングの上で拳を構え、登戸千鶴と向き合っていた。

 総合格闘のアマチュアリーグ、県代表本選だ。

 

「村雲お! 気合入れろおおお!!」

 

 大内先生の声が鼓膜に届く。

 観に来てくれたのだ。めっきり皺が増えた先生だけど、相変わらず声はうるさい。


 村雲は、顎を引いた上目遣いで、登戸千鶴と目を合わせ、目だけで笑った。

 余裕をみせたいとかじゃない、ただ、ずっと待っていた。

 そういう笑いだ。


 登戸も笑みを作った。

 武者震いを招く、凄みのある笑みだ。

 

 が、村雲は震える代わりに、

「しゃあっ!!」

 と叫んで、登戸の右にステップインをした。

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村雲さんは諦めない! くろすろおど @crossroadtkhs

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