ぼっちシリーズ

@karaokeoff0305

同窓会に誘われないぼっち(私です)

私には友達がいない。

気付いたら居なかった。始めからいなかったのではない。

気付いたらいなくなっていたのだ。



「梨沙子、この前の同窓会行った?みんな来てて凄く盛り上がったのよー」



数日前、数年ぶりに再会した友人が私に放った一言。

何だそれオイ聞いてないぞ。同窓会やるなんて話、ずっと地元に住んでたけど

1回も聞いたことがないぞ・・・



「梨沙子も来れば良かったのに~昔好きだった桐島君もいて

ホント楽しかったな~きゃー思い出したら恥ずかしい」



真っ赤になった顔を両手で隠し、笑いながら彼女はそう言った。

私はといえば、その言葉をただ茫然と聞くのみである。



「あ、同窓会あったんだ?ふーん、さ、誘われたら行ったのになー」



しどろもどろになりながらそんな台詞を言うだけである。

いつもの威勢の良い私はどうした。ビクビクして情けないぞ、自分。



「えー知らなかったの?梨沙子以外みんな来てたよ?」



万事急す。

どうやら私は眠りにつくときが来たようだ。



「あ、あれかな?私一回引っ越したからそれで葉書届かなかったのかな…」


「いや、幹事の飛鳥君同級生全員に出したってゆってたよ」


「ふ、ふーんそうなんだ…じゃあ配達中の事故とかかな?」



駄目だこれ以上此処に居たら死んでしまう。

そう思った私は疾風ダッシュ(イ〇ズマイレブンの風〇)で家へと帰った。



「あらりーちゃん。そんなに大汗掻いて。どうかしたの?」


「い、いやハローワークで凄く良い求人を見つけてね・・・

早く応募しなきゃと思って焦って帰ってきたトコ」



ゼェゼェ、と息を吐きながら思いつく限りの嘘を吐いた。

ハァハァ全く友人め。もうすぐで死んでしまうところだったぞ。



「同窓会って都市伝説じゃなかったのか…」



誰もいない部屋でポツリ、消え入るような声でそう呟く。

まさか私抜きでひっそり楽しく行われていたなんて…

それってそれって―ちくしょううラララ…



「ま、どうせ行っても隅っこで焼肉食べてるだけだし?

クラスのリア充は中心に集まって騒いでるけどカースト最下位の

私達は隅っこで寂しく焼肉つっついてるだけですヨ

終いには涙の味しかしないさ、そんなモンさ、あー行かなくて良かった

葉書が家に来なくて良かった!!!」



あれ涙が出てくる何でだろう。

きっとアレだ。さっきスーパーで試食したお寿司の中にワサビが入ってて、

それで鼻がツーンとしちゃったんだ。きっとそうだ。絶対そうだ。



「あらりーちゃん。そんなに大汗掻いて。どうかしたの?」



先程の、優しい母の声が脳内で繰り返される。

そうだ、私のことを深く心配してくれている母の為にも

こんなことで落ち込んでいる暇はない。早く仕事を見付けねば。



「さっきハロワで紹介して貰った会社の履歴書書こーっと」



半分死んだ瞳で、履歴書の入っている封筒へと手を伸ばした。

こんな辛いことがいつまでも続く訳がない。耐えるんだ自分。

ていうか同窓会なんて燃えてしまえ。〇になってしまえ。

心の中でそう強く雄叫びをあげながら。

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