想いを殺すことは、わたしを殺すよりも辛いから
- ★★★ Excellent!!!
領主一族を影で支える呪術師の娘。
呪いを我が身で受けることを生業とするため、忌まれる存在でもある。
そんな彼女が主一族の総領息子に恋をする。命を賭して、ただ一度だけ想いを遂げたいと望むが。
切ない恋物語なれど、荒れ狂う海の唸りが、暗い嵐の空が、贄とされた女の怨みが、重苦しい呪術の返しが。
切迫感のある描写が、折り重なる波濤のように、読み手の胸に迫る。
恋愛ジャンルに違いはなくとも、歴史物やファンタジー小説の愛好者、また重厚な描写を好む諸氏にもおすすめしたい。