二週目 初めての日

眠れない


窓から流れてくる涼しい風は

昼ごろの暑さを馬鹿にしているようだった


あの後はすぐに女性の友人らしき人が呼びかけて

一言言っていなくなってしまった


もちろん僕はその言葉を聞き取ることなど出来なかった

天井を見つめながら思うことは、

素敵な人だった

だけだった


人と話すこともなければ恋をすることもない

これが恋愛感情なのかなんて分かりもしなかった


ただひとつだけ

もう一度会ってみたい

と、なったこともない感覚が僕の眠気をかき消すのだった


明日また行けば会えるだろうか


夏休みはどれくらいあるのだろう


そんなことばかり考えていた

しかし現実はそう簡単ではない

また会えるなど夢のまた夢


「・・・あほらしい」


そう一言つぶやいてそっと天井から目を逸らした


克行にとって初めて本以外のことに夢中になった日だった


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昨日見た君は今日の僕。 田沼 出雲 @_magupaied_

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