セクハラを受ける塾の女子大生講師さんの告白

寝る犬

セクハラを受ける塾の女子大生講師さんの告白

 私がバイトで講師をしている学習塾に、先週から新しい生徒がやってきました。


 その中学2年生の男の子、仮にHくんとしましょう。

 彼、すごく……エッチなんです。


 昨日も別の生徒とこんな話をしていました。



  ◇  ◇  ◇



H「昨日さ、オヤジが夜中に酔っ払って動画見ててさ、うるせーの」

友「あー、どんな?」

H「なんかさ、裸の大人が汗だくで抱き合ってんの」


 Hくん、それ18歳未満が見たらだめなやつよ!


友「なにそれ、やべーじゃん」

H「オヤジそれ見ながら『もう出ちゃったのかよ、終わるの早いな』とか言ってんの」

友「出たら終わりなの?」

H「出たら終わりらしい」


 Hくんのお父さん、もうちょっと声潜めて!

 あなたの中学生の子供が聞いてますよ!


友「それ結局何なの?」

H「え? ああ、相撲」



  ◇  ◇  ◇



 今日は休憩時間にHくんからこんな相談を受けました。


H「先生って大学生だよね」

私「そうよ」

H「何歳?」

私「21歳よ」

H「じゃあ……もうアレやった?」


 顔を赤らめて何を聞いてくるのキミは?!


私「あれ……って?」

H「ほら、あれ……言わせんなよ恥ずかしい。大人になる前にはみんなやるんでしょ? あのセではじまるやつ……どうだった?」


 中学生! 中学生直球すぎです!


私「先生はそんなことしません!」

H「え? してないの? 成人式」



  ◇  ◇  ◇



 授業が始まります。


H「先生顔赤いよ?」

私「なんでもないです。今日は英語ですね」

H「そうだ、さっき全然単語が分かんなくてさ、先生教えて」

私「いいですよ?」


 そこで、Hくんは好色そうにニヤリと笑いました。

 私はちょっと嫌な予感がして胸を隠し、スカートの裾を直します。

 そんな私の手の動きを見ながら、Hくんはこう言いました。


H「先生、英語でアソコって何ていうの?」


 来た! セクハラ発言!

 中学生遠慮なさ過ぎ!


私「あ……あそこ……あそこって……」


 あそこ……英語だと何て言うんだっけ?

 って言うか、男の子のアソコ? 女の子のアソコ? いやいや、そもそもそんなこと教えちゃっていいの?


 目がぐるぐる回って顔が赤くなった私を見て、隣のブースの先生が体を乗り出して助け舟を出してくれます。


先生「なんだH、そんなこともわからないのか? あそこはThereだよ。ゼア」

H「あ、そっか! あーすっきりした」



  ◇  ◇  ◇



 今日の授業もやっと終わりました。

 私はHくんのセクハラ発言で疲労困憊ひろうこんぱいです。

 ぐったりしている私の隣で、Hくんは別の女子大生講師にその毒牙を向けていました。


H「先生はさ、いつごろ入れたの?」

別「うーん、高校生の時かなー」


 いきなり何の話?!

 って言うか先生もそんなにリアルに答えなくても!


H「俺も入れたいなー。先生はやっぱり初めて入れたとき痛かった?」

別「最初はかなり痛かったよー。もう入ってるときは『ああ! 今なんか異物が入ってる!』って感じでねー」

H「うわぁー」

別「でも今は出し入れ自由よ! ほんと毎日やってればすぐ慣れるわ、見せてあげようか?」


 先生もうその辺でやめて!

 中学生相手に何言ってるんですか?!


別「でも、Hくんって視力悪かったっけ?」

H「ううん、でもコンタクトってさ、カラコンとかやってみたいじゃん」



  ◇  ◇  ◇



 Hくんのスマホに電話が入り、お父さんが迎えに来ました。

 ああ、この人が夜中に動画を見ているお父さんなんだと思うと、私の頬は赤くなってしまいます。


 一度挨拶して外に出たHくんは、何故か教室に走って戻り、私に紙を一枚、手渡しました。


H「俺今日さ、塾の男の先生を全部チェックしたんだ。みんな結構違うんだよ。メモしたから先生にもあげる。じゃあね!」


 呆然とする私の手には、塾の男性講師の名前の一覧と、その下に書かれた「一番長い」「太いけど短い」「すげー臭う」などという寸評が書かれた紙が握らされていました。


 思わずまじまじと見てしまいます。


 その私の肩をぽんと叩いて、塾長が「おつかれー、戸締まりは私がやっておくから、帰って良いよ」と電気を消しに向かいました。

 確か塾長のことも書いてあったはず……。


 私は背中に隠した紙をもう一度手に取り、塾長の寸評をチェックします。

 そこには「ダイヤモンドみたいなの埋め込まれてた。ヤバい」と書いてありました。


 ダ……ダイヤ?!


 どういうこと? 手術? 手術ですか?


 目をぐるぐる回して立っている私の紙を覗き込んで、戻ってきた塾長が笑います。


塾「ははは、これHが書いたのかな? 私のはダイヤじゃないよ、ただのビーズの飾り」

私「はっ……はひっ?」

塾「全く、この情熱を勉強にも活かしてくれればなぁ」


 その意見には賛成ですが、塾長のアレにはビーズの飾りがついているんですか?!


塾「しかし、なんでネクタイなんかに興味持ったのかな? あのくらいの年齢の子供はよく分からないな」



  ◇  ◇  ◇



 Hくんが来てから、毎日がこんな感じです。

 私はこのセクハラ地獄からいつになったら抜け出せるのでしょうか?


 思春期の男の子はエッチすぎです……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

セクハラを受ける塾の女子大生講師さんの告白 寝る犬 @neru-inu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画

同じコレクションの次の小説