俺の家には割と完璧な弟と、熱心に愛を与える両親がいた。
周りからは「仲良し家族」と呼ばれ、順風満帆な生活が続いていた。
そして現在、涙雨の下で、棺を見つめている。
息子としても、兄としても資格のない俺は、見なかったことにした日々を振り返る……
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最初から最後まで、鬱屈が詰まった作品でした。
諦めの混じった語り口から滔々と語られる、目を背けたくなる事実。
歯車が歪んだまま回っていくのをただ見守るしかなく、どうしようもない無力感が押し寄せてきます。
これ以下にはならないだろう、という部分から更に下がるので、ショックには注意です。