第13話
少女を蹂躙する妄想に取りつかれた私はまさに獣であったろう。
ふらふらとやってきた子鹿は、何も知らず私を信頼しあこがれの目で見上げてくる。このぞくぞくとする快感は何物にも代えがたい。
スミレにだけは極力触れぬように気をつけた。タガの外れる音を聞かぬように。
少女たちの無防備な肩に触れるたびに流れ込む突き刺さるような生気。私には苦痛だが、少女たちには西洋国も似た甘美な電気が流れていることだろう。この快感をスミレにだけは悟らせたくなかった。
スミレは無垢なままがいい。いずれ私は花嫁に迎えるときに至上の快楽を与えるつもりだ。
私は夜な夜な酒場を廻った。
私の食欲を満たす獲物をあさった。
パンパンとは違う、男娼たちを夜道で引っ掛けると、そのまま暗がりで食事をする。彼らの生気は薄い。もともと飢えているせいかもしれない。痩せて、肉質も薄く、抱いても女のような柔らかさは全くない。押し広げ蹂躙しても彼らは声を上げることすらこらえる。それは母国の大胆な男娼たちとは違った。
日本人には恥という言葉がある。恥という気持ちが歓喜の喘ぎを押し殺させるのか?
私にとって恥とこの身の落ちぶれようだ。今やけだものと変わりなく食事をする。
ただ、一人、スミレにだけはこのようなあさましい姿を見せたくはない。
スミレをさらってとうとう二週間がたとうとしている。彼女は私の愛撫に疲れ切って臥せったままだ。やつれてきたように見える。
彼女を苦しませたくない。もっと広い屋敷に移るべきだろう。この地を離れて……
スミレに栄養のある食べ物を与え、また触れないように心がける。それがこんなにもつらいとは。
彼女の髪に、彼女の肌に、彼女の柔らかな唇に触れたい。まだ幼い乳房を、まだ慣れていない秘処を揉みほぐして、私のカタチに染めてしまいたい。そのたまらない欲情を抑えつつ、私は献身的に彼女の世話をした。
彼女も次第にわたしに心開いてくれている。
けれどその手の縄を解くことはできないだろう。私の囚われの姫よ……どこにもやりはしない。私の腕の中でだけ安寧を覚えてほしい。
バッククロス 藍上央理 @aiueourioxo
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