鹿児島県南端にある、漁師町では五十年に
一度、ある儀式が執り行われる。
『おわたい』と呼ばれるその儀式。嘗て
六人の乙女によって豊漁と幻の果実とが
齎されたというが…それは呪いと紙一重。
関わる者が一人また一人と死んでゆく。
嘗て、古の六人の乙女たちが齎したという
『幻の柑橘』海浜の洞窟奥に荒縄で固く
戒められ安置される六体の『ほかい様』
老女の口遊む六番迄しかない『数歌』
古い伝承に則って『おわたい』の儀式に
臨む時、一体何が起こるのか。
人々の思惑と古からの呪いが怒濤の様に
打ち寄せては渦を巻いて、そして収束して
行く…その結末は。
村出身の教え子に呼ばれた、曰く持ちの
師弟コンビが、村に纏わる因縁と謎に
対峙する。既に別の呪いを密かに抱える
彼等が見たものとは。
一体、何だったのか。